〜小学4年〜

私はドキドキしながら駆け足で家に帰った。重たいランドセルを揺らしながら…


『ただいまー!』

玄関を開けると、ペットシートが置いてあった。餌も、おやつも。
部屋に入りコタツの隅を見ると黒い小さな犬が丸まって寝ている。


それが私の可愛い妹『カップス』との初対面。

私に気付いて起きたあなたは、シッポを振って飛びついてきた。

なつっこい凄く優しい顔をした女の子。コタツの周りを駆けて回り私に頭撫でられてはまた回るの繰り返し…笑


元の飼い主さんが言う通り本当に無邪気で、本当に人が大好きだった。

家族みんなが集まって、父親から名前が発表された。
当時『カプリス』という車種に乗ってた父親。それをちょっと変えて『カップス』


もちろん…………
家族みんなブーイング。
『女の子なんだから、もっと可愛い名前がいい!!』
『変!!』
など意見が出たが、父親は頑として譲らなかった。


でも『カップス』って名前の犬なんて多分この世であなただけだと思うよ。
だから絶対忘れない。
忘れられない。

カップスとの生活がスタートして、家族にもっと笑顔が増えた。部屋のあちこちから
『カップスー!!おいでぇー!!』と聞こえる。
朝起きたらカップスの頭を撫でて、夜寝る時にカップスを抱きしめた。
カップスで始まって、カップスで終わる毎日だった。


そんなカップスに初めの大仕事がやってきた。
そう…トイレ!!