忘れられない人

2007年4月高校入学

部活目的で、地元の高校ではない所に入学した私は下宿に入った。
入学式の朝、真っさらな制服に袖を通し、登校。

今日から高校生、部活も勉強もできれば恋も頑張れればいいなぁ～って思ってた。

入学式も無事に終わり、入学早々部活。
かなり厳しい部活で、休みなんてほとんどなく、全国を目指すぐらいのﾊﾞﾚｰﾎﾞｰﾙの強豪校だった。

毎日毎日先輩にしごかれて、家に帰っても下宿には先輩がいて…
ほんとにしんどかったなぁ～。

一ヶ月がすぎた頃、友達も増え始め学校生活にも慣れてきた。
そんなある日一人の友達から声をかけられた。

｢あのさ、とも君がﾒｱﾄﾞ教えてって言ってるけど教えていい？｣

私は、とも君という子を
全く知らなかった。
私の高校は男子が学年に20人ほどしかいない商業高校で、その中でもとも君は一番人気の男の子だった。

友達も増やしたかったし軽い気持ちでいいよと返事した。

何分かしてﾒｰﾙがきた。

『初めまして。ﾄﾓです。ﾒｱﾄﾞ教えてくれてありがとう。』

『初めまして。ﾅﾅｵです。』

みたいな感じでﾒｰﾙが始まった。

中学の時の話、趣味、好きなもの、部活のこと…
色んな話をしてるうちにﾄﾓ君に興味が湧いてきた。

ちゃんとﾄﾓ君を見たことがなかった私はﾄﾓ君のｸﾗｽに見に行くことにした。

窓から覗いてみた。

女の子に囲まれてる男の子が一人…

｢あれがﾄﾓ君か？｣

そう思いながら見てると目が合った。
恥ずかしくなって目を逸らし、早足で自分の教室に戻る。

席に着くなり心臓のﾊﾞｸﾊﾞｸが止まらないことに気付く。

｢かっこよすぎやろ!!!｣

これが私がﾄﾓ君を見た第一印象。

それからも何回もﾒｰﾙのやり取りをして、その度ﾄﾓ君に惹かれていくのがわかった。

5月も半分を過ぎた頃、ﾄﾓ君からﾒｰﾙで

『野球部の三浦先輩って知ってる？』

と、聞かれた。

ﾄﾓ君は野球部で、ﾄﾓ君を何回も盗み見してたこともあったから知ってることは知ってるけど…と思いながらも、

『聞いたことはあるかな～』

なんてﾒｰﾙを返してみた。

すると、

『三浦先輩がﾅﾅｵちゃんとﾒｰﾙしたいらしいんやけど、ﾒｱﾄﾞ教えていい？』

と、返ってきた。

私はその時すでにﾄﾓ君のことが気になっていたし、色んな男の人とﾒｰﾙなんて…と思っていたから

『ん～保留で』

と、返した。

『わかった』

そんな感じで三浦先輩のことは保留のまま流れていった。

何日かﾒｰﾙをして、ある日ﾄﾓ君から三浦先輩のことを聞かれた。

『三浦先輩にﾒｱﾄﾞ教えんの？』

『ん～』

と、私は返した。

すると、
『あのさ、三浦先輩にﾒｱﾄﾞ教えやんといてほしいねんけど…実は、俺がﾅﾅｵちゃんのﾒｱﾄﾞを聞いたのは三浦先輩に頼まれてん。俺を通してﾅﾅｵちゃんのﾒｱﾄﾞを聞くためやったみたいで。俺もいいっすよって軽く言ってﾅﾅｵちゃんにﾒｱﾄﾞ聞いたけど、どんどんﾅﾅｵちゃんとﾒｰﾙしていくうちに俺がﾅﾅｵちゃんのこと気になってきて…三浦先輩には俺がうまいこと言っとくから、ほんま教えやんといて。ﾅﾅｵちゃんが三浦先輩のこと気になるんやったら無理にとは言わへんけど…』

このﾒｰﾙを読んでﾄﾓ君も私のこと気にしてくれてると思ったら嬉しくなって、

『三浦先輩にはﾒｱﾄﾞ教えやんといて。』

なんて即返してしまった。

すると、
『ほんまに!?ありがとう。無理言ってごめんな。』

と、返ってきた。

ﾄﾓ君からのﾒｰﾙはどこからどう見ても告白なのに、そのことには何も触れず、私もﾄﾓ君のことが気になってるなんてことも言えず、お互いｷﾞｸｼｬｸしながら何日か過ぎた。

ある日ﾄﾓ君とﾒｰﾙをしていると、急に彼氏の話を持ち出してきた。

『ﾅﾅｵちゃんって彼氏いんの？』

『いやへんけど。ﾄﾓ君は？』

『いやへんけど、そろそろほしいな～なんて。』

これってどういう意味やろ？なんて返そ？
色々考えながら

『私もそろそろほしいかな～』

と、返してみた。

すると、

『じゃぁ俺がなろっか？』
ん!?
告白!?
そう思いながら、

『私も彼女になったろか？』

と、返してみた。

『んじゃ付き合ってみよか？』

『うん』

こんな軽い感じでﾄﾓ君と付き合うことになった。