again

　

沢山遠回りした。

沢山傷付けた。

沢山傷付けられた。

それでも大好きって気付いた。

　

　

「あたし前に弟居るって言ったじゃん？
その弟は小さい頃に親戚にあずけたの。
そしたら癌で死んでいたんだよ！
美波には海斗が居てお互い大切にしていて
そんなのが羨ましかった」
「でも…」
「死んだのを知ったのお母さんが
死んだあとだよ？
もう…あたしには何もない」

そう言って崩れていた。

「ねえ、あたしさ言ったよね。
美奈子は大切な友達だよ？
でかもう家族なんだよ。
あたしが海斗を守りたいのはもちろん。
でもあんたも一緒だよ」

そう言った。

　

　

美奈子は「ありがとう」を
何回も言っていた。
また１からやり直せる。
そう思っていた。

でも…

次の日美奈子は自殺した。

あたしが朝起きたらまみちゃんに言われた。
急いで病院に行ったら皆慌ただしく動いて
朝方居なくなった。

　

　

朝方美奈子は飛び降りた。
４階からだから即死ではなく
運ばれて少しして亡くなった。

あたしは涙も出なくて
病室の外から皆が泣いてるのを見てた。

頭の中で何を思うのでもなく
ただ何も考えないで見ていた。

お葬式の日にちが決まった。
普通だったら美奈子のために
あたしが生きようと思ったり
お葬式は手伝おうと思ったり
美奈子の分も生きようと思うのかも。

でも、その時のあたしには
そんな事出来なかった。
ただ１日ボーっとしていた。

　

　

そしてお葬式の日。

同じ学校だけど皆知らない人が
沢山来ていた。
大星とかも来ていた。

あたしは誰も見ないようにして
被害者ぶっていたのかも。
泣く事も笑う事もなくただボーっとしてた。

美奈子の小学校が同じの
前に話しかけられた人たちも来ていた。
すぐ分かった。
だって皆号泣してるから。

あたしは泣いてる人を見て
何も思わなかった。
ただ、”羨ましい”と思った。

　

　

感情を表に出せるのが
本当にうらやましかった。

あたしは自然と涙は出ない。
泣くなって思って我慢している分けでもない。

何か感情があったのか？って聞かれると
”恐かった”。
なんでか分かんないけど
本当に恐かった。

人が死ぬのってこんな恐いんだ
ってその時初めて分かった。

お葬式で笑ってる人も居た。
普通だったらむかついたりするのかも。
でも何とも思わなかった。

　

　

お葬式が終わって
あたしは美奈子が飛び降りた
ビルに行った。

５階だったけど本当に怖くて
足がすくんだ。
そして気持ち悪くなって吐きそうになった。

そのあと一人で施設に戻って
ベッドに横になった。
天井を見てもご飯を食べても
お風呂に入っても何をしていても
何とも思わなかった。

ある日美奈子の荷物を整理していたら
ノートを見つけた。
そこには”日記”と書かれていた。

　

　

あたしは何となく見た。

最初の方は日記になってるけど
途中で”面倒臭いからやーめたっ”
って書いてあった。

そしてその時の感情？見たいのが
書いてあってみた。
その中にこう書いてあった。

「もう全部面倒臭い！！
死にたいなー好きな事やって死のう」

そう書いてあって次のページに
”美波へ♡”とでっかく書いてあるページを
見つけた。

　

　

美波へ♡

あたしあんたに出会えてよかった。
いつも一緒にいたね。

あたし何か生きてるのが辛くなった。
あたしは美波が本当に羨ましかった。
あたしは美波になりたかった。
美波はあたしの目標だったよ。

前話したよね。
将来おばあちゃんになっても
お茶飲んで世間話しようって…
ごめんね。
あたしの生き甲斐は美波だったのに
あたしは沢山美波を傷つけた。

何してるんだろうね。

　

　

あたしはこれから天国に行くね。
美波は幸せになって下さい。

あたしね、美波が心開いてくれて
本当に嬉しかった。
美波は心をひらけばすぐ人気者になるよ。

あたしは１４歳で止まるけど
美波がおばあちゃんになって
ヨボヨボになっても分かるから！
あたしはずっと美波を見てるから！

だから美波がヨボヨボになったら
天国でお茶でもしよう！！

じゃ…またね。
美波、大好きだよ。
あたしはあんたに出会えてよかった。
幸せになってね。
ばいばい！

美奈子より♡

　

　

読み終わった時
もう全てが終わった気がした。

前話したじゃん！
あたしが小説を書いたら
１番に読んでくれるって…。

名前何にしようかなって
一緒に考えたじゃん！！

今思い返すとそう思える。
その時は本当に感情がなくなった。
でもあたしは変わった。

普段へらへらするようになった。
そして友達は悪い子とつるんだ。

誰も信用してなかった。
てかいつか死のうと思ったから
あたしは何でも好きな事やった。

　