私が恋をしたのは……恋しちゃいけない人でした……
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#1 [知慧] 13/03/13 14:22
あたしは、小さい頃からずっと、男の人の声が聞こえている。
この声の持ち主は誰なんだろう…??
いつしかあたしは、この声に恋をしていた。
きっと、この声の持ち主が、あたしの王子様なんだ…。
#37 [知慧]
『ねぇねぇ、私見ちゃったんだけどさー』
学校帰り、パクのバイト先のキムチ屋へ行こうと、下駄箱で急いで上靴を脱いでいる時だった。
こっちに歩いてくる女子高生が、大声で喋っているのが聞こえた。
『入院してるおじいちゃんのお見舞に行ったんだけどさ、そこの病院に、あのジュンがいたの!!』
:13/03/13 17:58
:iPhone
:4U/7YS1Y
#38 [知慧]
『なんかすっごい痩せちゃってさ、ニット帽とかかぶっちゃって…あれはかなりの重病だね!!』
ジュンが…?
あたしは無意識に、その女子高生に飛び付いていた。
「それホント?!」
『な、何?』
あたしは頭が真っ白になって、ガクガクとその女子高生を揺さぶる。
「ジュンが病気って…ホントなの!?」
『ちょっと落ち着いて…!見ただけだからわかんないけど、相当具合悪そうだったよ
「病院名教えて!!」
『北××病院だけど…』
「ありがとう!!」
あたしは病院に向かって走っていた。
:13/03/13 18:00
:iPhone
:4U/7YS1Y
#39 [知慧]
ガラッ
「ジュン!!!」
あたしは、ジュンの入院している病室の扉を勢いよく開けた。
ジュンの部屋の位置が分かったのは、愛の力とかなんかそんな感じだと思う。
「チエ…!!」
ジュンはすっかり変わり果てた痛々しい姿で、そこにいた。
でも、声だけは変わってない…。
「ジュン…!いつから、いつからこんな…!?」
「チエ…バレちまったか…」
ジュンは力なく笑った。
:13/03/13 18:00
:iPhone
:4U/7YS1Y
#40 [知慧]
「…チエには…こんな弱った俺の姿、見られたくなかったぜ…」
ジュンは、ゆっくりとベットから上半身を起こしてあたしを見つめた。
「何の…病気なの…?」
「…癌、だってさ…笑っちゃうだろ?」
「癌って…そんな…」
その病名に、あたしは頭を殴られたような耐え難い衝撃を受けた。
「悪性?良性??治療方法は!?摘出?抗がん剤?放射線治療!?」
「そこまで詳しく決めてないよ…」
:13/03/13 18:01
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:4U/7YS1Y
#41 [知慧]
まくし立てるあたしを黙らせるかのように、ジュンはかぶっていたニット帽を外した。
言葉を失った。
そう、ジュンの頭はツルツルだったのだ。
「カッコ悪いだろ?」
「そんな…そんなことないよっ!!」
あたしはジュンに抱きついた。
「やっぱり、あたし、ジュンのことがだいすきだよ!!」
「チエ…
:13/03/13 18:02
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:4U/7YS1Y
#42 [知慧]
いったん落ちます
:13/03/13 19:37
:iPhone
:4U/7YS1Y
#43 [知慧]
日に日に弱っていくジュンを見るのは辛かったけど、できるだけ一緒にいたかったから…。
あたしたちは、精一杯生きていた。
ジュンの声を、耳に焼き付けた。
パクとはそれから別れた。 最後まで優しかった。
ある晩、ジュンは血を吐いた。
「ジュン!!お医者さん、お医者さん呼ばなきゃ…!!」
:13/03/14 10:50
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:1Gn0nMEo
#44 [知慧]
でも、それはジュンに止められた。
「…やめてくれ!」
「でも!!」
「どうせ俺はもう長くない…だから、最後に…チエと、あのアパートで…」
ジュンの、最後のお願いだった。
あたしはどうしても叶えてあげたかった。
あたしたちは、この狭い病室から抜け出した。
:13/03/14 10:51
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:1Gn0nMEo
#45 [知慧]
誰の目から見ても病人なジュンを連れ出すのは容易ではなかったけど。
そして、あたしたちはジュンのアパートにたどり着いた。
「なんか、なつかしいね…」
ちょっと来てなかっただけなのに、そこはなんだかなつかしかった。
あたしたちが別れる前の、ジュンが癌になる前のまま…。
「また…手料理作ってくれよ…ビーフストロガノフ…」
:13/03/14 10:53
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#46 [知慧]
いったん落ちます❄
:13/03/15 15:01
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