俺が彼女と過ごした時間。

それは俺にとって、かけがえのない一生涯の思い出で、これから先もずっと、その思い出は消える事はないと思う。

俺、頑張ってるつもりだよ。

俺、ちゃんと父親出来てるかな？

出来るならもう一度会いたい。

だけどそれは、叶わない現実…




俺が彼女と過ごしてきた日々を、記録していきます。

中1の5月、2つ上の人に告白された。

「蓮君の事気になるの。良かったら、彼女にしてくれないかな？」

告白してきた女の名前は、栞。

栞の噂は1年男子の間では有名で、お近づきになったらいけないんじゃないかってくらい、綺麗で可愛い人だった。

「あ、すんません…ちょっと考えさせて。」

中1のクソガキが、3年の栞の告白を断った。

連れ達からブーイングの嵐だった。

「何で断るんだよ？」

「俺あの人の事何も知らねぇもん。」

「だからって断んなよ勿体ねぇ！栞先輩すげぇ綺麗な人だろ！」

「綺麗だけど…知らねぇんだからどうにもなんねぇだろ。」

確かに綺麗だ。

本当、栞は美人ってはっきり堂々と言えるくらい、綺麗だった。

だけど俺、栞の事全然知らなかったんだよな。

栞がいつ何処で俺を知ったのかも分からなかった。

知らない女に告白されて、気持ち悪いと思う気持ちもあった。

「勿体ねぇ…何で俺じゃなくてお前なんだよ。」

「知るかよ。」

「栞先輩、ヤンキーがタイプなのかな。」

「知るかよ。」

「断るなんてマジで勿体ねぇな。」

連れにはそう言われるし、考えさせてと言ったままだし、栞に返事をした。

「彼女にするのは無理。友達ならいいよ。」

って。

そしたら友達からねって言われて、俺と栞の友達関係がスタートした。

それから栞は休み時間になると俺の教室に来てた。

栞先輩が来た！とか言って、クラスの女子達はおとなしくなってた。

休み時間には俺の教室に来て話すし、帰りも一緒に帰ろうと言われれば帰ってたし、俺って単純だったのかな…

いつの間にか栞を、好きになってた。

全く何も知らなかった栞の事、たったの半月くらいで好きになってた。

好きになったら止まらなくて、俺の女になってほしいと思って、今度は俺から告白した。

「栞先輩の事が気になる。良かったら俺を彼氏にしてくれませんか？」

栞が、俺に告白してきた時みたいに俺も気持ちを伝えた。

「え…？」

「好きだから付き合って。」

「もう1回言って…？」

「栞が好きだから…付き合って下さい。」

「うん…付き合う…！」

はにかんだ笑顔が、物凄く可愛く見えた。

5月下旬、俺と栞の付き合いが始まった。

付き合った次の日だったな。

俺と付き合ってるって栞がすぐに皆に言って、俺と仲良くする女は許さないとか言い始めた。

栞なりのヤキモチだよな。

そんなんだったら俺も、栞と仲良くする男にヤキモチ妬くっつーんだよ。

だけど俺は仲良くするなとか言えなかった。

男友達も必要だと思うし、束縛はしたくなかったし。

ただ、栞と同じクラスに、栞と1年半付き合った元彼がいる事には…

ヤキモチ妬いたな。

栞と付き合ってる事はすぐに知れ渡って、皆から羨ましく思われた。

2年の先輩は俺を良いような目で見てなかった。

3年の先輩とはすぐに仲良くなった。

栞の元彼とは…

仲良くなれなかったな。

彼女の元彼と仲良くするなんて、俺には考えられなかったから。

校内ですれ違う時もあったけど、意識してしまって目を合わせられなかったな…

今彼の俺が、元彼に負けててどうすんだよって話だけど。

栞が何で俺に告白してきたか聞いた。

「入学式の時目立ってたよね、蓮。1人だけ金髪で、中1のわりに背が高くて。顔見たらタイプで、それからちょっとリサーチしてフリーって分かって、あ、付き合わなきゃ！って思った。」

「それだけ？俺の中身何も知らなかったわけじゃん？」

「知らなかったけど…気になったら仕方なくない？蓮にOKって言われてからでも蓮の事知れるじゃん。彼女になれたらいいなーって思ったけど、友達でも良かったもん。あ、だけど今はだめだよ！？蓮の彼女じゃなきゃ嫌だ！蓮の事まだまだ知らないけど、蓮の事大好きだもん。」

俺だってこの時はもう、栞が好きだった。

俺だって、彼氏じゃなきゃ嫌だった。