○最後の四季○
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#160 [ゆり]
「高原さん!!」

「ゆりちゃん!?」

みんなの声だ。

でも隼人の声で呼んで欲しいよ。

「救急車!」

その言葉に
あたしは首を横に振った。

「大丈夫です…」

意識と共に
真っ白な世界から
日常に戻った。
 

⏰:06/09/03 13:54 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#161 [ゆり]
あたしはフラフラする身体を

両脇から抱えられて
事務所の奥の部屋に
寝かせてもらった。


「大丈夫?!」

「すいません、ちょっとクラッとしただけです…大丈夫だから戻って下さい☆」

笑ってそう言うと
心配そうに冷たいお茶を持ってきてくれた。
 

⏰:06/09/03 13:57 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#162 [ゆり]
「なんかあったらすぐインカム(皆が付けてるマイク。内線みたいなもの)で呼ぶんだよ?」

「はーい☆ありがとうございます」

パタン

ドアが閉まった。
あたしは天井を見上げた。
 

⏰:06/09/03 14:00 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#163 [ゆり]
白い天井。
そこに
あいつの顔が浮かぶ。

認めたくなかった。

だけどあたしは
完全に隼人に依存していたんだ。
 

⏰:06/09/03 14:21 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#164 [ゆり]
小さい頃から
幸せではあったけど

当たり前にあるはずの

両親の愛を
あたしは見た事がなかった。

過去の恋愛も
純愛ってのは
見た事がなかった。

そんな中で
作り上げられた

あたしという人格。
 

⏰:06/09/03 14:23 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#165 [ゆり]
サバサバしてて
男っぽい性格。

頑固で
負けず嫌いで
プライド高くて
妥協しない。

上手く人に甘えられない。
弱音を吐かない。
止まる事は許さない。

そんなあたしだから
そりゃ強いって
思われる。
 

⏰:06/09/03 14:26 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#166 [ゆり]
あたしも自分は強いって
思ってた。

強い自分が好きだった。

何もしないで
文句、弱音ばかり吐いてる奴は嫌いだったから。

でももう認めるしかない。

本当はめっちゃ
弱いって事。

隼人に支えられて
生きてるって事。
 

⏰:06/09/03 14:29 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#167 [ゆり]
自分で思ってた以上に
傷は深かった。


隼人の
ほんの些細な裏切りだけで。

たいした事じゃない。

でも理屈じゃない。

こんなに不安定になってしまった。

ねぇ隼人


どこにも行かないで。
 

⏰:06/09/03 14:33 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#168 [ゆり]
次から次へ
涙が落ちてゆく。

こんな気持ち
何ていうんだろう。


コンコンッ
ガチャ

ドアがいきなり開いた。


「あ〜ら〜…
泣いてるじゃーん」


三上くんだった。
 

⏰:06/09/03 14:37 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


#169 [ゆり]
涙でぼんやりした視界の中
三上くんが隣に来たのがわかった。

「…大丈夫なりかー?」

瞬きもしないあたしの瞳。
涙は止まらない。

三上くんが指で拭った。

 

⏰:06/09/03 15:39 📱:V703SH 🆔:IasJY6xo


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