○最後の四季○
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#271 [ゆり]
「若菜」

体がビクッとした。

なんで周りの
おっさん達の声うるさいのに

こんなに聞こえちゃうんだろう。

元カノの名前。

可愛い名前だね。

そりゃ呼んじゃうよね。

でも聞きたくない。
 

⏰:06/09/07 23:01 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#272 [ゆり]
じわーって
涙が。

もう悲しみなんて越えてたハズなのに。

あたし隼人の事好きだよ。

いつも
強がって

傷付かない様に
執着しない様にって
少し距離を置いてた。

でも好きだよ。
まじで。
 

⏰:06/09/07 23:06 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#273 [ゆり]
あんたはさ

そりゃ今までチャラ男だったし

いきなりクソ真面目なんて
無理だってわかってる。

いつも小さな事で
怒ってごめんね。

「また信じさせる」って
一生懸命想い伝えてくれたのに

過去ばかり
責めてごめんね。
 

⏰:06/09/07 23:09 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#274 [ゆり]
そんな自分が
格好悪くて
情けなくて
自己嫌悪ばかりで。

だけどそうしなきゃ
自分支えられなかったの。

なんでこんなに
好きなんだろうね。

あんた最低じゃんね。

優しいけど
ほんと最低じゃん。
 

⏰:06/09/07 23:12 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#275 [ゆり]
だけど
消えないんだよ。

あんたが最低でも
消えてくれない。

本気で愛し合って

信じ合ってきた

最後に見た
二人だけの四季が。


今までの季節は

一つ残らず
全部
全部覚えてるから。
 

⏰:06/09/07 23:15 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#276 [ゆり]
 
隼人が死んじゃった訳でもないのに

今までの想い出が
頭の中を駆け回った。

孤独でもう
どうしようもなくなって
愛想笑いさえ出来なくなって

その度に思い出したのは

やっぱり隼人だった。
 

⏰:06/09/07 23:17 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#277 [ゆり]
悲しみの明日が
ねぇ少しだけ

涙ででも輝くのなら
それもいいのかもね。

そんな日にも
隣に居てくれる?

真実はきっと
あたしじゃなくて
あんたが持ってるから。
 

⏰:06/09/07 23:20 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#278 [ゆり]
頭をポンポンッて
優しく叩かれて
顔を上げた。

心配そうな
三上くんの顔。

「戻る…?」

その言葉に
首を横に振った。

何も出来なくても
見なかったフリ出来るほど
強くない。

真実を隼人から聞きたい。
 

⏰:06/09/07 23:24 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#279 [ゆり]
「ぶっちゃけ若菜わ
まだ隼人の事好きだよ」


ほんと
すごい事ばっかり言う子だな。

心が目で見えたなら

今あたしの心は
どんだけズタズタだろう。
 

⏰:06/09/07 23:26 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


#280 [ゆり]
実際酔っぱらってなかったんだなって
わかる話し方。

酔ったフリして
隼人をお持ち帰りするつもりだったのかな。


そんなズタズタなあたしの心を
荒っぽく
だけど温かく包んでくれた
隼人の言葉。

今も忘れてないよ。
 

⏰:06/09/07 23:30 📱:V703SH 🆔:AUH7NPns


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