○最後の四季○

これだけでいいやって
思わせてくれるくらいの
あたしだけの笑顔。

今年の夏は
すれ違ってばかりだったけど

信頼は何度だって切れそうになったけど

絆に気付けた季節だったね。
　

二人で焼鳥屋を出ると

雨はすっかり上がっていて
もう秋に変わりかけた風が
吹いた。

大きくて
大好きな手。

繋げる事の幸せを

改めて感じた。

大切にするよ。

秋も冬も

来年の夏も

ずっと。
　

｢ねぇ
ゆりは今回の事で俺と別れるって
言わないの？｣

｢言わない。
隼人泣いちゃうから｣

隼人は繋いでた手を離して
思いっきり肩を抱いた。

｢痛いーｯ！｣

｢ゆりちゃん愛してる！！｣
　

端から見たら
ただのアホに見えるかな。

これ読んでくれた人も
アホだなって思うかな。

あたしは自分で
アホだなって思う。
　

隼人

あんたが泣いちゃうから
別れるって言わないって言ったけど

ほんとは違うんだ。

どーせ別れたとしても

また会ったら

｢やっぱ好きだなー｣って

思っちゃうから。
　

ずっと
ずっと

二人で並んで

歩いて行けたら

どんな四季も

輝いて見えるよね。

それが笑顔か涙かは

わからないけど。

どっちでも

あたしは幸せ。
　

　
大好きな人がいるあなたへ。
伝えたかった。

本当に些細な事で

大切にしてきたものは
簡単に壊れてしまう事。

二度と戻らない事。
　

愛してるからといって

これから先

隼人の事を心の底から信用する事は
正直出来ないかもしれない。

心の底から
好きなのに。

それってとても
悲しい事で。
　

信じる事は
口で言うほど簡単ではないけど

信じる気持ちは
愛よりも深く強く

二人を繋いでくれるものだと
あたしは思っています。

大好きな人から

信頼され続けるあなたでいて下さい。
　

　
裏切られた事があるあなたへ。
伝えたかった。

｢信じれば裏切られる｣

そう思ってる人も
多いと思います。

裏切られる度に
傷を負って

信じる度に
また痛み出して。

心に黒い影を作る。
　