○最後の四季○
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#161 [ゆり]
あたしはフラフラする身体を
両脇から抱えられて
事務所の奥の部屋に
寝かせてもらった。
「大丈夫?!」
「すいません、ちょっとクラッとしただけです…大丈夫だから戻って下さい☆」
笑ってそう言うと
心配そうに冷たいお茶を持ってきてくれた。
:06/09/03 13:57
:V703SH
:IasJY6xo
#162 [ゆり]
「なんかあったらすぐインカム(皆が付けてるマイク。内線みたいなもの)で呼ぶんだよ?」
「はーい☆ありがとうございます」
パタン
ドアが閉まった。
あたしは天井を見上げた。
:06/09/03 14:00
:V703SH
:IasJY6xo
#163 [ゆり]
白い天井。
そこに
あいつの顔が浮かぶ。
認めたくなかった。
だけどあたしは
完全に隼人に依存していたんだ。
:06/09/03 14:21
:V703SH
:IasJY6xo
#164 [ゆり]
小さい頃から
幸せではあったけど
当たり前にあるはずの
両親の愛を
あたしは見た事がなかった。
過去の恋愛も
純愛ってのは
見た事がなかった。
そんな中で
作り上げられた
あたしという人格。
:06/09/03 14:23
:V703SH
:IasJY6xo
#165 [ゆり]
サバサバしてて
男っぽい性格。
頑固で
負けず嫌いで
プライド高くて
妥協しない。
上手く人に甘えられない。
弱音を吐かない。
止まる事は許さない。
そんなあたしだから
そりゃ強いって
思われる。
:06/09/03 14:26
:V703SH
:IasJY6xo
#166 [ゆり]
あたしも自分は強いって
思ってた。
強い自分が好きだった。
何もしないで
文句、弱音ばかり吐いてる奴は嫌いだったから。
でももう認めるしかない。
本当はめっちゃ
弱いって事。
隼人に支えられて
生きてるって事。
:06/09/03 14:29
:V703SH
:IasJY6xo
#167 [ゆり]
自分で思ってた以上に
傷は深かった。
隼人の
ほんの些細な裏切りだけで。
たいした事じゃない。
でも理屈じゃない。
こんなに不安定になってしまった。
ねぇ隼人
どこにも行かないで。
:06/09/03 14:33
:V703SH
:IasJY6xo
#168 [ゆり]
次から次へ
涙が落ちてゆく。
こんな気持ち
何ていうんだろう。
コンコンッ
ガチャ
ドアがいきなり開いた。
「あ〜ら〜…
泣いてるじゃーん」
三上くんだった。
:06/09/03 14:37
:V703SH
:IasJY6xo
#169 [ゆり]
涙でぼんやりした視界の中
三上くんが隣に来たのがわかった。
「…大丈夫なりかー?」
瞬きもしないあたしの瞳。
涙は止まらない。
三上くんが指で拭った。
:06/09/03 15:39
:V703SH
:IasJY6xo
#170 [ゆり]
「なんも言わなくていいけど…
ちょっと横にいさせてね」
少し笑って
そう言った。
切ない声だった。
全部わかってる様な
そんな声だった。
:06/09/03 15:43
:V703SH
:IasJY6xo
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