○最後の四季○
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#92 [ゆり]
少し先を歩いてた大橋くんが
あたしの方に右手を出した。

「ありがと。」

あたしは左手で
握った。

あったかいな。


「…俺が言うのもおかしいけど
こんなとこ来てて
彼氏怒らない?」

「怒るんじゃないかな」

「なんじゃそら(笑
大丈夫なの?」
 

⏰:06/09/02 00:28 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#93 [ゆり]
「大丈夫じゃないよ。
でも
いいんだ。」

それ以上
大橋くんは何も聞かなかった。


あたしはいつから
こんな弱くて
こんな勝手で
いつも何かのせいにして
大切なものを
自分から遠ざける様に
なったんだろう。
 

⏰:06/09/02 00:32 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#94 [ゆり]
隼人に言った。
自業自得って言葉。

今あたしにも
当て嵌まる。

わかってるつもりでも
出来ない事ばかり。


歩いてると
大橋くんが止まった
から
あたしも止まった。

「俺彼女とケンカしたんだー」
 

⏰:06/09/02 00:34 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#95 [ゆり]
ありきたりな展開。

二人で傷の舐め合いか。
なんか虚しいね。


「なんで喧嘩したの?」

「めんどくさくなっちゃってさ」

「あはは
あたしと一緒だ。」
 

⏰:06/09/02 00:37 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#96 [ゆり]
「そーなの?」

「うん
あたしは自分が
めんどくさい。」

「重傷だな(笑」

「重傷ですね…」


少し沈黙があって
波の音を聞いてた。

一定に打っては返って。
あたしには
悲し過ぎるくらい
優しい音だった。

⏰:06/09/02 00:41 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#97 [ゆり]
「あー!さみぃ」

いきなり大橋くんはそう言って
あたしを抱きしめた。


「あったけ〜」

「…」


やっぱ人って
あったかい。

温もりって
いいなぁ…

そんな事を
考えてた。

でも風が冷たくて
心が
寒い。

埋まらない。
 

⏰:06/09/02 00:44 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#98 [ゆり]
「大丈夫か?」

「うん」

隼人以外の人の香りなんて
2年ぶり。

改めて気付く。

隼人の腕に愛が溢れてた事。
隼人の腕にいつも優しさがあった事。
 

⏰:06/09/02 00:49 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#99 [ゆり]
「ごめ…
もう…離して」

身体を離すと
二人の間に
冷たい風が吹いた。

「ごめん」

大橋くんは頭を下げて謝った。
 

⏰:06/09/02 00:52 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#100 [ゆり]
「ううん…
彼女の事
めんどくさくても
信じられるうちは
大事にしてあげて下さい。」


大橋くんは
まだきっと
彼女さんに満たしてもらえるから。
満たしてあげられるから。
だから、ね。
 

⏰:06/09/02 00:54 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#101 [ゆり]
夜中の3時過ぎに家に着いた。

携帯を見ると
隼人からのメールはなかった。

多分あたしがバイト終わる前に
寝たんだろう。

昔居酒屋でバイトしてた時は
終わるのが夜中の2時でも3時でも
起きててくれたのになぁ。
 

⏰:06/09/02 00:55 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


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