心から好きな人

言い合いは止まらず、しんが掛けていたﾒｶﾞﾈを外し、ﾊﾟｷﾊﾟｷと折りはじめた。

しん｢……もぅ終わりにしよぅや。わかれんべ。｣

完全にキレた。

智紗はそこで冷静になった。でも智紗は考えていたことがあった。

智紗(…別れる…か……ちょうどいいかな。最近喧嘩ばかり。しかもｱﾀｼのわがまま。しんに迷惑ばかりかけて……過去のことだって……)

過去に智紗がしてたこと。つまり、男関係。

それはしんを不安にさせていた。最近は何かあるたびに、過去を持ち出してくる。

自分が悪いとはいえかなりつらかった。

智紗｢……そぉだね。｣

智紗はうつむきながら行った。

しんは信じられないような感じだった。

でも別れる理由について智紗としんの考えがまったくちがった。

智紗は自分が最低だから。
だから別れようと思った。

でもしんは違った。

しん｢…俺が心臓弱いからだろ？めんどくさくなったんだろ？だから別れんだろ？｣

智紗｢…違う！違う！そんなんじゃない！｣

否定しまくった。

だってしんのことをめんどくさいとかおもったことなんて一度もなかった。

しんは信じてくれなかった。それどころか、智紗の気持ちすら信じなくなった。

必死に泣きながら信じてほしくて訴えた。

でもしんは信じなかった。

智紗｢信じて！ｱﾀｼはしんのことを誰よりも愛してる！お願い！信じて！｣

泣いた。

どれだけ泣いたかわからない。

しんにしがみつきながら泣いたけど信じてもらえなくて、智紗はあきらめようとした。

椅子にもたれ、泣きながら｢信じて｣とつぶやいた。

しんはそんな智紗を見て何を思ったのかな？

しんが智紗を見た。

智紗はもう壊れたようにどこかを見ていた。

｢…………智紗。｣

しんが口を開いた。

智紗はまた否定されると思った。

この時聞こえていたかな？何回もつぶやいていた。

｢信じて｣

虚ろな目でどこかを見ていた智紗。

｢信じて｣

ただそれだけをつぶやいていた。

しんは智紗の方を見ないで外を見ていた。

しん｢…智紗？はじめから騙してたんだろ？好きじゃなかったんだろ？なぁ？｣

智紗は耳を疑った。

何度も何度も言い続けた。｢ちがう！好き！誰よりも愛してる！｣

でもやっぱり信じてもらえなくて、智紗はまた狂いそうだった。