〇ニ番目の四季〇
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#270 [ゆり]
結局あたしは
静かに回れ右をして
席に戻った。

「先輩おかえり〜♪」
「ゆりチャンおかえり〜♪」
爽やかボーイと友達がお出迎え。

「ただいま〜混んでて入れなかったぁ」

やばい、泣きそう。

そう思いながら
笑った。

 

⏰:06/06/02 18:37 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#271 [ゆり]
「まぢかぁー!また後で行っといで♪」

周りは楽しい雰囲気。
こんなとこで泣けないし、帰ったりして雰囲気壊せない。

話して
笑って
はしゃいでいても
頭ん中は
さっきの光景ばかり。


普段のあたしなら
飛び蹴りでもアッパーでもかましてやるのに

実際
ただ頭が真っ白になるだけ。

平気なフリでいっぱいいっぱいだった。
 

⏰:06/06/02 18:41 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#272 [ゆり]
次の瞬間
追い打ちをかける様に
ベロベロに酔った隼人が来た。

「みんな飲んでるー!?」
ビール瓶を両手に持って、
ありえんくらいのハイテンション。

周りは盛り上がってたけど
あたしはそんな隼人見たくなかった。

「ゆりちゃん!ちょー来て〜♪」

そう言うと同時に
隼人はあたしの腕を掴んで違う席に連れていった。
 

⏰:06/06/02 18:44 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#273 [ゆり]
その席には
一年の女の子ばっかり。

あたしは強引に隼人に肩を抱かれた。

「俺の彼女のゆりちゃんでーすッッ♪」

「いえーぃッッ♪」
「綺麗〜♪お似合い〜♪」

女の子達はきゃぁきゃぁ盛り上がる。

無理矢理席に座らされ
皆に見られて
あたしは人形か。


屈辱感でいっぱいだった。
 

⏰:06/06/02 18:49 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#274 [ゆり]
雰囲気だけは壊さないように
笑顔で席を立って
戻ろうとした。

裏で隼人に手を掴まれた。

「どうした?」

「何が?」

「なんか機嫌悪い?」

「別に」

実際隼人はそこまで酔ってなかった。

だからかえってムカついた。
酔ったフリしてあれだよ。
 

⏰:06/06/02 18:52 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#275 [ゆり]
「離して?
あたし向こうで飲むから」

「…わかった」

手の力が緩んだ瞬間
あたしは隼人から離れた。

トイレに入り
少し泣いた。

なんかよくわかんないけど

涙が出た。
 

⏰:06/06/02 18:54 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#276 [ゆり]
上を向いて
中指で涙を拭いて
鏡でチェックして
あたしは席に戻った。


友達は完全に潰れてて
隣に岩田くんがきた。
岩田くんは隼人の友達で、クラスメイト。

「ゆりちゃん、あいつちょっとヤバくない?」

あたしはカシスソーダを一口飲んだ。

「なんで〜?」

「やり過ぎっつーか、さっき一年の子の腰に手回してたし」

「…」

 

⏰:06/06/02 19:01 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#277 [ゆり]
「先輩とケー番も交換してたよ?」

「…ふ〜ん…やるね〜アイツも(笑」

何かごまかす様に
あたしは近くのグラスのお酒を飲み込んだ。

「苦いッ」

「あ〜それ俺のっすよ〜」

「あ、爽やかボーイの?いいじゃんいいじゃん!追加頼もうッ」

あたしはよくわかんないまま
夢中で違う事を考えようとしてた。

岩田くんは心配そうに
あたしを見ててくれた。
 

⏰:06/06/02 19:06 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#278 [ゆり]
それからあたしは
隼人の行く先も
行動も
聞こえてくる騒ぎ声も
全部見ないフリした。


午後9時。
「そろそろお開きだよ〜!!皆気をつけて帰ってね〜♪」

4年の先輩の声が響き渡る。

あたしは靴箱の鍵を手に取って
席を立った。
 

⏰:06/06/02 19:10 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


#279 [ゆり]
「先輩!彼氏さんに飽きたら連絡下さい♪」


爽やかボーイはそう言って
アドを書いた紙をあたしに押し付け帰っていった。


「ゆ〜りチャン♪」

ご機嫌なテンションで肩を組んできた隼人。

あたしは
「酒臭い」
と一言言って手を払いのけた。

その時見たのが隼人と一年生の子のアイコンタクト。
 

⏰:06/06/02 19:16 📱:V703SH 🆔:Zfxg/uXs


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