〇ニ番目の四季〇
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#495 [ゆり]
「帰りながら考える…」
「そっか〜」
そう呟いて吐いた煙が
目の前に広がる。
隼人なら
「ごめんね」って言いながら
煙払ってくれるんだよ。
あたしが怒って帰るって言ったら
絶対に追い掛けてきてくれるんだよ。
それで
少し怒った声で
「一人じゃ危ないだろ」って
優しく手を握ってくれるんだよ。
隼人に会いたい。
:06/06/14 17:47 :V703SH :uwhDiWoo
#496 [ゆり]
「先輩大丈夫?」
泣きそうなのがバレてたのか
心配そうに顔を覗き込む慶太。
「大丈夫…もう帰れるから、ほんとありがとね」
あたしは軽く頭を下げて
早足で改札を通った。
一人になって
どうしようもない
不安に襲われた。
急いで携帯を出した。
:06/06/14 17:52 :V703SH :uwhDiWoo
#497 [ゆり]
隼人からの不在着信が
たくさんあった。
「隼人…」
あたしは必死でボタンを押して
隼人に電話をかけた。
プルル…
「ゆり?!」
ワンコールで出てくれた。
いつもと同じ
あたしを心配する声。
涙が溢れた。
:06/06/14 17:55 :V703SH :uwhDiWoo
#498 [ゆり]
「ぅ〜…はやと〜…」
ホームの端っこで
人目も気にせず泣いてた。
「どーした!?大丈夫か?!今どこ!?」
「わかんないよ〜!泣」
「ゆり!落ち着いて、近くになんかない?」
「電車ー!電車があるー!泣」
「駅?なんて駅?!」
:06/06/14 17:59 :V703SH :uwhDiWoo
#499 [ゆり]
あたしはキョロキョロして駅名を探し
隼人に伝えた。
「今から行くから待ってて!声かけられても付いてくなよ!」
「うっん…」
「ゆり大丈夫だから、な?」
「うん…」
携帯を閉じて
涙を拭いて
ホームの椅子に座った。
:06/06/14 18:02 :V703SH :uwhDiWoo
#500 [ゆり]
隼人はいつも
あたしの名前をたくさん呼んでくれる。
可愛いものがあったら
「ゆり、あれ可愛くない?」
って教えてくれるし
励ましてくれる時も
呆れてる時も
怒ってる時も
喜んでる時も
いつも言葉の前に
ゆりって付けてくれる。
それがいつも
とても嬉しかった。
:06/06/14 18:09 :V703SH :uwhDiWoo
#501 [ゆり]
あたしも毎日
馬鹿みたいに
隼人隼人って
言ってた。
気まぐれで
好きだったネイルチップ作りもすぐに飽きて
ダイエットも速攻終わっちゃって
そんな自分が
毎日求めたのは
隼人だけだった。
:06/06/14 18:14 :V703SH :uwhDiWoo
#502 [ゆり]
やっぱり気持ちは変えられない。
苦しくて
どうしようもないけど
好きでいたい。
「隼人…」
俯いて
また溢れそうな涙を堪えながら
携帯を握っていた。
「ゆり!!」
恥ずかしいくらい
大きい隼人の声。
やっぱり泣いてしまった。
:06/06/14 18:18 :V703SH :uwhDiWoo
#503 [ゆり]
隼人が息を上げながら
あたしの隣に座った。
「ゆり!どーした!?」
「みんなにあたしがゆりってバレるじゃん〜」
あたしは意味不明な事を言いながら泣いてた。
「あ、声でかかった?ごめんごめん(笑」
隼人が笑って
手を握ってくれた。
気持ちが落ち着いてきたのが自分で分かった。
:06/06/14 18:22 :V703SH :uwhDiWoo
#504 [ゆり]
落ち着くと同時に
頭に浮かんだ。
慶太のコトと
あの子のコト。
何から話したらいいのか
わかんなかった。
「ゆり…ごめんな」
「え?」
隼人の方を見ると
俯いてた。
手を握る力が強くなった。
:06/06/14 18:26 :V703SH :uwhDiWoo
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