〇ニ番目の四季〇
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#535 [ゆり]
「先輩」

慶太はあたしを起こして
抱きしめた。

「や…」

あたしは拒んだ。

だって
慶田の肩幅とか
腕の強さとか
香りとか

全部に隼人が映るんだよ。

これ以上
隼人の温もり消さないで。
お願い。
 

⏰:06/06/17 23:56 📱:V703SH 🆔:34icdEBA


#536 [ゆり]
「痛…やだぁ…」

「最後だから!」

「…」

「これでちゃんと…諦めるから…」


…嘘
慶太泣いてる。

切ない気持ちで
いっぱいになった。

「なんだよこれ…
自分が自分じゃないみたいだし…
超かっこわりぃじゃん」
 

⏰:06/06/17 23:58 📱:V703SH 🆔:34icdEBA


#537 [ゆり]
わかるよ
その気持ち
痛いくらいわかる。


慶太はあたしを強く抱きしめた後
腕の力を緩めた。

「家まで…送ります」

二人で家を出て
車に乗り込んだ。

「車もボロくてごめんね(笑」

「ううん、全然」

それから家までの40分
慶太は笑顔でたくさん話してくれた。
 

⏰:06/06/18 00:00 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#538 [ゆり]
「俺ね〜先輩に一目ぼれして
まぁ彼氏いたし軽い気持ちだったんです(笑」

「うん…」

「でも話したり
中身知る度にまじで好きになっちゃってて(笑」

「うん…」

「今日先輩駅まで送った後も
気になって
学校の方行って彼氏探してて(笑」

「うん…」
 

⏰:06/06/18 00:02 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#539 [ゆり]
「当然見つかる訳もなく
帰ろうとしたらホームに先輩がいたんですよ(笑」

「うん…」

「めっちゃ傷付いてる顔してたから…
暴走してしまいました…笑」

「…うん」

無理に笑顔を作る
あたしに似た
慶太の不器用な優しさが
苦しかった。
 

⏰:06/06/18 00:03 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#540 [ゆり]
「あ、そこのコンビニでいいよ
ほんとありがとう」

車が止まり
ドアを開けたら慶太が言った。

「先輩、大丈夫だよ」

「…なにが?」

「俺がイイ女だと思うんだから
大丈夫!」

「なにそれ(笑」


励ましてくれてる。
あたし傷付けたのに。

「…ありがと。」
 

⏰:06/06/18 00:05 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#541 [ゆり]
慶太は笑って手を振って
帰っていった。

ボロい車が
やけにかっこよく見えた。

あたしだけ
進めないままだ。


部屋に入って携帯を開く。
隼人からは
着信も
メールもなかった。

「当たり前か…」

その日は瞼を冷やして眠った。
 

⏰:06/06/18 00:07 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#542 [ゆり]
次の日

相変わらずアラームより早く目が覚めた。

外は今にも雨が降りそうな
どんよりした曇り空。

溜め息を吐いて
学校に向かった。


「先輩!おはよ〜!」

振り返ると慶太がいた。
一瞬戸惑った。

「あ、おはよ」

「あはは超キョドッてるし(笑」
 

⏰:06/06/18 00:09 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#543 [ゆり]
次に後ろからカン高い叫び声が聞こえた。

「けーたくーんッ♪おはァ♪♪」

慶太の腕を掴んだのはギャル子ちゃんだった。

「あっゆりチャン先パイだッ♪
おはよーございまァす♪」

「おはよ(笑」

迫力負け。
 

⏰:06/06/18 00:11 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


#544 [ゆり]
「先輩♪俺モテるんで心配しなくていーですよ(笑」

「そのようだね(笑」

「まぁ先輩よりかなりレベルは下がるけど…(笑」

どーゆー意味ー??と上目使いのギャル子ちゃんと
慶太は笑いながら校舎に入っていった。
 

⏰:06/06/18 00:12 📱:V703SH 🆔:ThLyQD2Q


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