〇ニ番目の四季〇
最新 最初 🆕
#61 [ゆり]
コンコンッ

あたしはこの前と同じ様に助手席をノックしてドアを開けた。


「高橋さんだ♪」

「おっ女子高生だ!」

「うわ〜おじさん発言(笑)」

「俺おじさんだもん。あ、やっぱおじさまで。」

「何そのこだわり…笑」

笑いながら車は出発した。
 

⏰:06/05/28 16:11 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#62 [ゆり]
「どこ行くの?」

「俺映画見たいー」

「あ、いいね♪」


こうして映画館に向かった。

車から降りるとどちらからともなく、普通に手を繋いで歩いてた。

身長が20センチ違う高橋さんに手を引かれるあたしは
本当に子供みたいだ。

⏰:06/05/28 16:13 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#63 [ゆり]
映画はあたしの好きな恋愛系…
じゃなくてホラーだった。

怖いというより気持ち悪い。

(全然ロマンチックじゃないし〜ッ)

でもずっと手を握っていた。

映画が終わって外に出たらもう夕方。

「なんか食べる?」
と聞かれたけど
正直ドキドキで食べれそうにない。
 

⏰:06/05/28 16:16 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#64 [ゆり]
「ん〜あんまりお腹すいてなぃ」

「そっかぁ〜じゃあどっか行く?」

(まだ一緒にいれるんだッ)

「うんっドライブしたい♪」


はしゃぐあたしの頭をよしよしして
助手席のドアを開けてくれた。

高橋さんは王子様みたいで、
自分がお姫様みたいな気分になっちゃう。

お姫様は他にいるのにね。
  

⏰:06/05/28 16:17 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#65 [ゆり]
車を走らせて海に来た。

近付く秋を知らせる様に
冷たい風が髪を揺らした。


「あ〜ちょっと寒かったか、ごめんね」

「ううんっ綺麗♪見て見て!夕日がすごいよ!」

広がる地平線に夕日が沈む。

あの日の夕日は本当に鮮やかで
本当に綺麗だった。
  

⏰:06/05/28 16:20 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#66 [ゆり]
他愛ない話しをしながら、あたしは波際に近付いた。

「ゆりちゃん靴汚れるよ(笑)」

「大丈夫大丈夫!」


はしゃいでないと苦しい。

やっぱり手放しには楽しめない。

  

⏰:06/05/28 16:22 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#67 [ゆり]
少しずつ想い出が増えて
どんどん好きになって

高橋さんで頭がいっぱいになる。


同時に彼女の存在がよぎる。

(この場所にも二人で来たのかな…)


気を張ってないと涙が溢れそうだった。 
  

⏰:06/05/28 16:24 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#68 [ゆり]
沈みかけてる夕日の映る水面を眺めていた。

「ゆりちゃん!」

ぐいっと後ろに引っ張られた。

「わッ」

足が縺れて高橋さんの胸によろけてしまった。

「危ないな〜思いっきり波来てたよ?濡れてない?」


「大丈夫…」

胸に顔を埋めた。
高橋さんの匂いがした。
高橋さんは何も言わずに抱きしめてくれた。

⏰:06/05/28 16:27 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#69 [ゆり]
胸が苦しくて苦しくて、
だけど涙だけはこらえた。


ピリリリリッ

びっくりして体を離す。

高橋さんの携帯だ。

「…ちょっとごめんね」

少し離れて高橋さんは電話に出た。

彼女さんだろうな、と思った。

話しを聞かない様にわざと波の音に集中した。

辺りはすっかり暗くなっていた。
  

⏰:06/05/28 16:29 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#70 [ゆり]
高橋さんが戻ってきた

「ごめんね、そろそろ行こうか」

「うん!」

あたしは笑顔で答え
手を繋いで車まで戻った。

帰る間、
ずっと窓の外を見てた。
泣きそうだったから。

車の中でキスをしてバイバイした。
  

⏰:06/05/28 16:31 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194