〇ニ番目の四季〇
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#1 [ゆり]
2番目でも良かった
幸せだった
あなたと過ごした四季は
まだ忘れてないよ
:06/05/28 10:13 :V703SH :a4CPZqco
#2 [ゆり]
高校2年の夏−
貴方と出会った。
「おはようございまーす!!」
「あ、ゆりちゃんおはよ〜」
あたしは仕事量と給料が釣り合わないファミレスのバイトをやめ、
時給のいい焼肉屋で働く事にした。
:06/05/28 10:15 :V703SH :a4CPZqco
#3 [ゆり]
そこで出会ったのが高橋さん(22)。
身長が高くて
少しパーマ掛かった長めの茶色の髪
とにかく第一印象は
「かっこいい」
の一言だった。
:06/05/28 10:16 :V703SH :a4CPZqco
#4 [ゆり]
当時のあたしは
頭が堅いんだろうけど、
「好きじゃないケドまぁとりあえず付き合ってみるか(●-∀-●)」
的な考えが出来ない女だった。
だから恋愛経験は少なかった。
ましてや年上なんてありえなかった。
:06/05/28 10:18 :V703SH :a4CPZqco
#5 [ゆり]
「ゆりちゃん仕事慣れた?」
(あ〜今日も爽やかな高橋さん♪)
「ん〜まだわかんない事ばっかりです(笑)」
「そかぁ〜困ったらなんでも聞いてな」
「ありがとうございますッ☆」
いつも些細な事しか話せなかったけど、それでも嬉しかった。
:06/05/28 10:20 :V703SH :a4CPZqco
#6 [ゆり]
でもやっぱりかっこいい人ってのは
彼女がいる。
これが現実。
高橋さんにも2年付き合ってる彼女がいた。
:06/05/28 10:22 :V703SH :a4CPZqco
#7 [ゆり]
一回二人でお店に食べに来た。
高橋さんと同じ22歳らしくて、
背が高くてすごく大人っぽかった。
(お似合いだなァ…)
あたしは
(絶対惚れちゃダメ、ただのファンでいようッ)
と心に決めた。
:06/05/28 10:24 :V703SH :a4CPZqco
#8 [ゆり]
バイトを始めて約1ヵ月−
急に店を閉める事になった、と店長に聞かされた。
個人店だから経営が苦しくなったんだって。
(もー高橋さんに会えないのかぁ)
って、
寂しくなった。
:06/05/28 10:26 :V703SH :a4CPZqco
#9 [ゆり]
最後の日−
店を閉めてから残ったお肉やデザートを
店内に並べて皆でお別れ会をする事になった。
店長に花束を渡して、
店長の挨拶。
涙腺が緩いあたしは一人で泣いて皆に笑われた。
:06/05/28 10:27 :V703SH :a4CPZqco
#10 [ゆり]
「ゆりちゃん1番新人なのになぁ〜(笑)」
と高橋さんが言った。
(この声ももう聞けなくなるんだ…)
しょんぼりしながら席に付いて、
バイトの先輩達と思い出話しで盛り上がっていた。
:06/05/28 10:28 :V703SH :a4CPZqco
#11 [ゆり]
だんだんイビキかいて寝出しちゃう人や、
外で「焼肉ありがとうー!!」って叫び出す人も出てきて
ごちゃごちゃ。
ふと後ろに気配を感じ
振り返ったら
(高橋さんだッ)
:06/05/28 10:30 :V703SH :a4CPZqco
#12 [ゆり]
「ゆりちゃんケー番教えて〜」
「…えっ!あっハイ!!」
あたしは焦ってカバンから携帯を取り出した。
「すげーキラキラ(笑)」
ラインストーンを貼りまくった携帯を見て言った。
「可愛いでしょ〜!!キラキラ大好きなんです♪」
精一杯の平常心で携帯を開いて渡した。
:06/05/28 10:33 :V703SH :a4CPZqco
#13 [ゆり]
「番号これですッ」
「あ、ありがと〜」
笑いながら高橋さんはあたしの携帯を手に取った。
きっとこの時から
あたしの運命は変わったんだ。
:06/05/28 10:34 :V703SH :a4CPZqco
#14 []
:06/05/28 13:12 :P701iD :3HWqs7hk
#15 [ゆり]
きャーッ知っててくれてるんですか(*≧m≦*) 隼人の小説わ見るなーッて言われてるから見てなぃですが(*´`*)
頑張りますッありがとうデス☆
:06/05/28 13:27 :V703SH :a4CPZqco
#16 [ゆり]
それから夜中の1時を回ったのでそろそろ帰る事にした。
店長や先輩達(まぁほとんど酔っ払いだけど)に挨拶をして店を出ようとした。
「一人じゃ危ないよ、送ってこうか?」
車のキーを出してそう言ってくれたのは高橋さん。
:06/05/28 13:28 :V703SH :a4CPZqco
#17 [ゆり]
「あたし自転車で来てるんで大丈夫です☆」
優しさに甘えたら
完全に好きになっちゃいそうだった。
叶わない恋はしない主義。
お礼を言って店を出た。
:06/05/28 13:30 :V703SH :a4CPZqco
#18 [ゆり]
帰り道、友達のマイに電話をした。
マイは高校は違うけど
小、中一緒で1番仲が良い子。
高橋さんの事も相談していた。
:06/05/28 13:33 :V703SH :a4CPZqco
#19 [ゆり]
「もしもーし☆」
「あ、マイ?起きてた?」
「起きてるよ〜夏休みだもん☆ゆりゎ飲み会どーだった?」
「んー楽しかったけど…高橋さんにもう会えないよ〜…」
「あ〜…携帯は?」
「教えたよ、でも実際連絡こないっしょ〜 あーあ…」
「大丈夫だって!連絡手段はあるんだからさッ」
:06/05/28 13:34 :V703SH :a4CPZqco
#20 [ゆり]
励ましてくれるマイに感謝しながら電話を切った。
部屋に入りドアを閉めた瞬間、携帯が鳴った。
ピリリリ〜♪
(マイかな?)
携帯を開くと知らない番号。
知らない番号には出ないのが頭の堅いあたしのルール。
:06/05/28 13:36 :V703SH :a4CPZqco
#21 [ゆり]
電話が切れるとまたすぐに鳴った。
ピリリ〜♪
今度はメールだ。
怪しくないかは件名で判断するのが頭の堅いあたしのルール。
すると件名には
「高橋です」の文字。
すごい勢いで目が開いた。
:06/05/28 13:38 :V703SH :a4CPZqco
#22 [ゆり]
ドキドキしながら親指に力を入れる。
ピッ
「高橋です:無事に家ついた〜?」
(心配してくれてたんだぁ…優しぃ。)
感激しながら返信。
「今着きましたァ☆高橋さんも気をつけて帰ってねo(*^∀^*)o」
:06/05/28 13:40 :V703SH :a4CPZqco
#23 [ゆり]
メールを待つ時間、なんとも言えないドキドキ感。
変な事書いてなかったよね、
と何度も自分が送ったメールを読んでみる。
するとメールが届いた。
:06/05/28 13:41 :V703SH :a4CPZqco
#24 [ゆり]
(高橋さんだ!)
ピッ
「もう寝ちゃう?」
この一言で期待した。
(まだメール出来るのかなッ♪)
「まだ寝ないですよ(´∀`*)なんか目が覚めちゃって…」
:06/05/28 13:43 :V703SH :a4CPZqco
#25 [ゆり]
すぐに返事が来た。
ありえない内容だった。
「じゃあ今から行くね、着いたらワン切るから☆」
(………ん?んんん??)
:06/05/28 13:44 :V703SH :a4CPZqco
#26 []
:06/05/28 13:44 :P901i :KSlQnq2Y
#27 [ゆり]
ほんとですか!?(*≧□≦*)
読んじゃいたぃけどちょっと怖いんですよね〜×
これわ隼人と出会う前の話ですが読んで頂けたら嬉しいデス☆
:06/05/28 13:46 :V703SH :a4CPZqco
#28 [ゆり]
混乱しながらも軽くメイクを直し部屋をウロウロする自分。
ピリリリッ♪
さっきの知らない番号…
高橋さんだったんだ!
あたしは家族が寝静まった廊下を静かに歩き、
家を出た。
:06/05/28 13:48 :V703SH :a4CPZqco
#29 [ゆり]
マンションの前に車が一台。
(まぢ!!??)
とりあえず近付き
中を覗くと高橋さんが乗ってる。
(なにこれ。現実??)
あたしは助手席のドアをコンコンッとノックしてドアを開けた。
:06/05/28 13:49 :V703SH :a4CPZqco
#30 []
:06/05/28 13:52 :P901i :KSlQnq2Y
#31 [ゆり]
「お、来たな☆」
(…笑顔が眩しいっす。)
「お邪魔しまーす…」
遠慮気味に乗り込む。
「ごめんね夜中に〜」
「あ、いえ眠くないし大丈夫ですッ」
高橋さんがにこっと笑ったと思ったら急に出発。
あたしは慌ててシートベルトを締めながら聞いた。
「どこ行くんですか??」
:06/05/28 13:53 :V703SH :a4CPZqco
#32 [ゆり]
車内には高橋さんが好きな歌。
今もあの歌を聴くと鮮明に思い出すよ。
この夜からだよね、
何かが壊れて
何かが始まったのは。
:06/05/28 13:54 :V703SH :a4CPZqco
#33 [ゆり]
車はだんだん山道を登ってゆく。
「うわ〜暗ッ大丈夫なの?」
不安そうなあたしに
「怖い?」
と高橋さんは楽しそうに聞く。
だいたい友達の前では姐御キャラなあたしだけど、
高橋さんの前では子供キャラ。
それがとても新鮮で、
とても嬉しかったんだ。
:06/05/28 14:03 :V703SH :a4CPZqco
#34 [ゆり]
「楽しんでるでしょ!!」
「あはは怒ってる(笑)
はい、到着〜♪」
ジャリの駐車場に車を停めて
高橋さんはさっさと外に出てしまった。
あたしはここがどこなのか車内でキョロキョロ。
:06/05/28 14:05 :V703SH :a4CPZqco
#35 [ゆり]
ガチャッ
助手席のドアが開いた。
「ほら、着きましたよお姫様」
笑いながら高橋さんが手を差し出す。
あたしは内心ドキドキだったけど、
悟られるのがなんか悔しくて平然と手を重ねた。
:06/05/28 14:12 :V703SH :a4CPZqco
#36 [ゆり]
「ありがと、じいや♪」
「えっ王子様じゃないの?笑」
車を降りるとヒールが砂利に埋もれる。
自然に手を繋いでいた。
少し先を歩く高橋さんの
背中と足元だけ見て必死に着いていった。
:06/05/28 14:13 :V703SH :a4CPZqco
#37 [ゆり]
しばらく歩くと高橋さんの足が止まった。
「ゆりちゃん見てみ」
その声で顔を上げると
めちゃくちゃ綺麗な夜景!
あんなの見たの初めてだった。
「うわーッッッすごいッッ!!!」
あたしは興奮して前に出た。
丘の上から果てしなく続く光りが本当に宝石箱みたいだ。
:06/05/28 14:16 :V703SH :a4CPZqco
#38 [ゆり]
きゃーきゃー言ってるあたしを見て
「ほんとにキラキラ好きなんだね」
と高橋さんが笑った。
今日携帯を見てキラキラの話しをしたっけ、
覚えててくれたんだ…って妙に恥ずかしくなって
あたしはずっと夜景を見てた。
:06/05/28 14:19 :V703SH :a4CPZqco
#39 [ゆり]
高橋さんは少し後ろにあるベンチに腰かけて煙草に火を付けた。
煙草の匂いが夏の風に混じって胸が苦しくなった。
(やばいな…本当に好きになっちゃいそう)
:06/05/28 14:20 :V703SH :a4CPZqco
#40 [ゆり]
まだまだ子供なあたしには、
車を運転する姿も
さりげない気配りも
大きい掌も
煙草の匂いも
全部が大人に感じて
全部に惹かれてしまう。
だけど薬指に光ってる証、
見ないフリは出来ない。
泣きそう。
:06/05/28 14:23 :V703SH :a4CPZqco
#41 [あやぽん]
:06/05/28 14:53 :SH700i :KS0Rv05U
#42 [ゆり]
あやぽんサンありがとデス(#>∨<#)めちァ嬉しいッ☆頑張ります☆
:06/05/28 15:29 :V703SH :a4CPZqco
#43 [ゆり]
「ゆりちゃん?」
ベンチに座ってる高橋さんが声をかける。
笑顔で振り返ったけど
たぶん上手には笑えてなかったと思う。
何となく高橋さんも切ない表情で
「おいで」
と言った。
あたしは大人しく隣に座った。
:06/05/28 15:31 :V703SH :a4CPZqco
#44 [ゆり]
「寒くない?」
そう言って高橋さんは
あたしの肩に手を回した。
「え?ちょっ…」
いきなりで戸惑った。
いつの間にか煙草も消えていた。
:06/05/28 15:32 :V703SH :a4CPZqco
#45 [ゆり]
横を向くと指先であごを上げられた。
直感でキスされると思った。
「ちょッとと…ッ」
あたしは両手で拒んで下を向いた。
「彼女さんい」
るのにって言う前に回された手に力が入って
高橋さんに引き寄せられた。
:06/05/28 15:34 :V703SH :a4CPZqco
#46 [ゆり]
あごを上げられた瞬間唇が触れた。
「ん…ッ」
拒むほど引き寄せる力は強くなる。
舌が入ってきた。
深いキスは慣れてないのに
拒み切れないあたしは
きっともう手遅れで
完全に高橋さんを好きになってたんだ。
:06/05/28 15:37 :V703SH :a4CPZqco
#47 [ゆり]
唇が離れる。
「激しいね」
軽く笑って高橋さんが言った。
あたしを全部
見透かした様な仕種が
なんか悔しくて
苛立って
今度はあたしからキスをした。
:06/05/28 15:39 :V703SH :a4CPZqco
#48 [ゆり]
自分が自分じゃないみたい。
だけど指輪が見たくないの。
気持ちは伝えられないから
せめて
今だけ。
:06/05/28 15:40 :V703SH :a4CPZqco
#49 [ゆり]
今まで生きてきた中で
1番長いキスをして
どうやって戻ったのかわからないけど、
あたしは助手席に座っていた。
「彼女さんいるのにいけないんだ〜笑」
あたしはわざと茶化す様に言った。
子供だけど本気にしちゃいけない事くらいわかってる
だから大丈夫だよ。
:06/05/28 15:43 :V703SH :a4CPZqco
#50 [ゆり]
高橋さんはあたしを抱きしめて何も言わなかった。
こんな切なさ
何て言うんだろう。
時計が夜中の3時を回った時、
またいつもみたいに軽く笑って
「そろそろ行こっか」
と高橋さんはあたしを離した。
家の前に着くともう一度キスをしてきた。
「今日はありがとうございました」
笑顔でそう言ってあたしは車を降りた。
:06/05/28 15:45 :V703SH :a4CPZqco
#51 [ゆり]
車が見えなくなって
溜め息が出た。
「あたし何やってんだ
ろ…」
唇を噛み締めた。
家に帰ってシャワーを浴びた。
高橋さんの香りを
消したくない様な、
早く消したい様な、
複雑な気持ちで。
:06/05/28 15:47 :V703SH :a4CPZqco
#52 [ゆり]
髪を拭きながら部屋に戻ると
メールが届いていた。
受信:高橋さん
「家着いたよ、また近いうちに会いたいな」
数時間前に家から出た時とは全く違う感情。
あたしは溜め息と一緒に携帯を閉じた。
その日は寝れなかった。
:06/05/28 15:49 :V703SH :a4CPZqco
#53 [ゆり]
次の日マイとマックで話した。
「どうした?なんかあった?」
席に着くと同時に
マイは心配そうな顔で聞いた。
「うん…」
あたしは昨日の出来事を全部話した。
マイは驚いた後、冷静に言葉をくれた。
:06/05/28 15:53 :V703SH :a4CPZqco
#54 [ゆり]
「彼女いるのに好きになっちゃったんでしょ?
ゆりは何も悪くないよ」
悪くない訳ない。
彼女がいるってわかってて
夜中に二人で会って、
キスもした。
完全に浮気だ。
「あたし浮気相手かぁ…」
冷たいウーロン茶を喉に通す。
:06/05/28 15:55 :V703SH :a4CPZqco
#55 [ゆり]
「だからゆりは悪くないって。
好きになった人にたまたま彼女がいただけだし。
うちは好きでいていいと思うよ?」
「…あたし…好きでいていいのかな…」
「うん!!」
マイはあたしが無理矢理否定してた気持ちを
簡単に肯定してくれた。
気持ちが少し軽くなったのを感じた。
:06/05/28 15:57 :V703SH :a4CPZqco
#56 [ゆり]
「マイ〜ありがと!!」
「ううん☆てか〜食え食え!」
「あーッポテトほとんどないじゃんッ」
「食べ出したら止まらない…マックのポテトって怖いね」
「あんたが怖い…」
夕方家に帰り
部屋で雑誌を読んでるとメールが届いた。
:06/05/28 16:00 :V703SH :a4CPZqco
#57 [ゆり]
受信:高橋さん
「明日空いてる?」
あたしは少し迷った。
でも好きな人
会いたい人からの言葉を断れる程
大人にはなれなかった。
もう止められません。
あたし最低女でいい。
:06/05/28 16:01 :V703SH :a4CPZqco
#58 [ゆり]
送信
「明日は午前中、学校だからお昼からなら空いてますよ☆」
ピリリッ♪
受信
「そっか〜学校まで迎えに行こーか?」
(友達にバレて彼女さんにバレる可能性…ゼロじゃないよね。危ないかも。)
慎重過ぎる自分。
:06/05/28 16:04 :V703SH :a4CPZqco
#59 [ゆり]
送信
「本当ですか?でも学校の近くのコンビニでいいです☆学校の前、車停めれないかもだから」
受信
「うんわかった、じゃあ終わるくらいに連絡してね」
送信
「はぁい☆」
:06/05/28 16:06 :V703SH :a4CPZqco
#60 [ゆり]
−次の日
授業を終えて誰よりも早く教室を出て
コンビニまで走った。
(あった!)
高橋さんの車。
自然に笑顔になってしまう。
彼女さんの存在は気になるし消えない
でも会ってる時間を大事にしたい
素直に楽しもうと思ったんだ。
:06/05/28 16:09 :V703SH :a4CPZqco
#61 [ゆり]
コンコンッ
あたしはこの前と同じ様に助手席をノックしてドアを開けた。
「高橋さんだ♪」
「おっ女子高生だ!」
「うわ〜おじさん発言(笑)」
「俺おじさんだもん。あ、やっぱおじさまで。」
「何そのこだわり…笑」
笑いながら車は出発した。
:06/05/28 16:11 :V703SH :a4CPZqco
#62 [ゆり]
「どこ行くの?」
「俺映画見たいー」
「あ、いいね♪」
こうして映画館に向かった。
車から降りるとどちらからともなく、普通に手を繋いで歩いてた。
身長が20センチ違う高橋さんに手を引かれるあたしは
本当に子供みたいだ。
:06/05/28 16:13 :V703SH :a4CPZqco
#63 [ゆり]
映画はあたしの好きな恋愛系…
じゃなくてホラーだった。
怖いというより気持ち悪い。
(全然ロマンチックじゃないし〜ッ)
でもずっと手を握っていた。
映画が終わって外に出たらもう夕方。
「なんか食べる?」
と聞かれたけど
正直ドキドキで食べれそうにない。
:06/05/28 16:16 :V703SH :a4CPZqco
#64 [ゆり]
「ん〜あんまりお腹すいてなぃ」
「そっかぁ〜じゃあどっか行く?」
(まだ一緒にいれるんだッ)
「うんっドライブしたい♪」
はしゃぐあたしの頭をよしよしして
助手席のドアを開けてくれた。
高橋さんは王子様みたいで、
自分がお姫様みたいな気分になっちゃう。
お姫様は他にいるのにね。
:06/05/28 16:17 :V703SH :a4CPZqco
#65 [ゆり]
車を走らせて海に来た。
近付く秋を知らせる様に
冷たい風が髪を揺らした。
「あ〜ちょっと寒かったか、ごめんね」
「ううんっ綺麗♪見て見て!夕日がすごいよ!」
広がる地平線に夕日が沈む。
あの日の夕日は本当に鮮やかで
本当に綺麗だった。
:06/05/28 16:20 :V703SH :a4CPZqco
#66 [ゆり]
他愛ない話しをしながら、あたしは波際に近付いた。
「ゆりちゃん靴汚れるよ(笑)」
「大丈夫大丈夫!」
はしゃいでないと苦しい。
やっぱり手放しには楽しめない。
:06/05/28 16:22 :V703SH :a4CPZqco
#67 [ゆり]
少しずつ想い出が増えて
どんどん好きになって
高橋さんで頭がいっぱいになる。
同時に彼女の存在がよぎる。
(この場所にも二人で来たのかな…)
気を張ってないと涙が溢れそうだった。
:06/05/28 16:24 :V703SH :a4CPZqco
#68 [ゆり]
沈みかけてる夕日の映る水面を眺めていた。
「ゆりちゃん!」
ぐいっと後ろに引っ張られた。
「わッ」
足が縺れて高橋さんの胸によろけてしまった。
「危ないな〜思いっきり波来てたよ?濡れてない?」
「大丈夫…」
胸に顔を埋めた。
高橋さんの匂いがした。
高橋さんは何も言わずに抱きしめてくれた。
:06/05/28 16:27 :V703SH :a4CPZqco
#69 [ゆり]
胸が苦しくて苦しくて、
だけど涙だけはこらえた。
ピリリリリッ
びっくりして体を離す。
高橋さんの携帯だ。
「…ちょっとごめんね」
少し離れて高橋さんは電話に出た。
彼女さんだろうな、と思った。
話しを聞かない様にわざと波の音に集中した。
辺りはすっかり暗くなっていた。
:06/05/28 16:29 :V703SH :a4CPZqco
#70 [ゆり]
高橋さんが戻ってきた
「ごめんね、そろそろ行こうか」
「うん!」
あたしは笑顔で答え
手を繋いで車まで戻った。
帰る間、
ずっと窓の外を見てた。
泣きそうだったから。
車の中でキスをしてバイバイした。
:06/05/28 16:31 :V703SH :a4CPZqco
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