〇ニ番目の四季〇
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#140 [ゆり]
あたし達は後部座席に手を繋いで座った。

さっきよりよく聞こえる雨音に合わせて、

あたしは口を開いた。


「もう…今日で最後にするね」


しばらく沈黙が続いた。

あたしは言葉を続けた。
  

⏰:06/05/30 07:35 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#141 [ゆり]
「てか高橋さんさ、ひどいよね!笑
いっつも待たせてさ〜自分は女二人もいるなんて!
ひど過ぎるッ笑」


傷付けて遠ざけようと思ったんだ。

不器用だから、

上手にさよならが言えない。


「彼女さん大事にしなきゃ〜いつか痛い目みるよ!
あたしも都合良い女疲れちゃったし!もう高橋さんなんて懲り懲りッ笑」

⏰:06/05/30 07:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#142 [ゆり]
繋いだ手に力が入る。

高橋さんからの力だ。


「…ほんと、ゆりちゃんは優しいな」

軽く笑った。

頭をよしよしされた。

この大きな掌も、
出会った時から大好きだった。


あたしは今日で消えるから

もうそんな悲しそうに笑わないで。
  

⏰:06/05/30 07:43 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#143 [ゆり]
「高橋さんの事
本当に本当に大好きでした。
…いっぱい、ありがとう」

笑いたいのに笑えなかった。

涙声で精一杯伝えた。

「うん…」

頭に置かれた掌が
髪をなぞって顔に触れる。
  

⏰:06/05/30 07:44 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#144 [ゆり]
「ほんと小っちゃい顔だな(笑)」

「それ褒めてる?」

「褒めてるよ」

そう言って唇が触れた。

息が苦しいくらい。

想いをぶつけ合う様に重ねた。

 

⏰:06/05/30 07:46 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#145 [ゆり]
今まで高橋さんのあたしへの気持ちを疑わなかったのは、

キスに愛があったからだ。


好きだって言葉より信じられる、
不思議な力があったんだ。
 

⏰:06/05/30 08:17 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#146 [ゆり]
こうして最後のキスをした。


そしてあたし達は別れた。


寒い2月の終わりだった。
  

⏰:06/05/30 08:18 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#147 [ひLI]
今日初めて読みました
マヂ切なすぎッッ
でも、ゆりサンの気持ちが
痛LIぐらLI伝わッてきて…高橋サンの気持ちも
すごLI切なLI
高橋サンもゆりサンの事
大切にしてくれてたンですよね(pc_q`。)
なンか数年前の自分と
かぶッて思わず
読み耽ッてしまLIましたあと、文章作るのうますぎッ(゚Д゚;)

⏰:06/05/30 16:27 📱:N901iC 🆔:fPhEhBco


#148 [ゆり]
ひいサン感想ありがとデス(;ω;)
こういう恋愛って周りに反対されたり、イイ思い出にならなぃ事が多いケド
あたしの中でわ本当に大切な思い出になってるので書いてみました☆

⏰:06/05/30 20:10 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#149 [ゆり]
それから何度も高橋さんから電話があったけど
あたしは一度も出なかった。

もう繰り返す訳にはいかない。

だけどやっぱり
好きな気持ちは消えなかった。

⏰:06/05/30 20:14 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#150 [ゆり]
そして専門学校に入り
稲葉隼人という男と知り合った。

見た目、
チャラ男。

女の子を物色する、
あたしが1番嫌いなタイプ。


それでもあたし達は何故かよく話すようになった。

高橋さんの事も話していた。

⏰:06/05/30 20:26 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#151 [ゆり]
そして入学して2ヵ月ちょっと、
隼人の友達の岩田くんに告白された。

あたしの頭をよぎったのは高橋さんと…
隼人だった。


「ごめんね…」

「なんで?彼氏いないんじゃないの?」

どっかで聞いた台詞。

彼氏いない=付き合うって方程式なの?

「…いないけど…」

「じゃぁなんで?タイプじゃない?俺まじゆりちゃんタイプなんだけど」

⏰:06/05/30 20:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#152 [ゆり]
「…好きな人いるから…」

「…そいつと付き合わないの?」


段々めんどくさくなってきた。

今はあんまり思い出したくないのに。


「わかんない!」

ひどい女だけど、それで終わらせた。

帰り道、隼人に引き止められた。

⏰:06/05/30 20:30 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#153 [ひLI]
頑張ッてね(p*VωV)q
これからも読むし

⏰:06/05/30 21:11 📱:N901iC 🆔:fPhEhBco


#154 [ゆり]
「ゆりちゃん!」

「わッ…稲葉くんか…なに?」

「この後予定ある?」

「…帰宅ですけど」

「じゃあちょっと散歩しよ!」

「えぇ?」


こうして帰りの駅まで
遠回りしながら二人で歩き出した。
 

⏰:06/05/30 21:53 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#155 [ゆり]
ひいサンありがとォ♪頑張りマスッ(●>∩<●)☆

⏰:06/05/30 21:55 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#156 [ゆり]
その間にも、
あたしがヒールだから
「足痛くない?」
だの
「カバン持とうか?」
だの
気を遣ってくれた。


(さすがチャラ男…女慣れしてる。)


あたしは危険人物リストにコイツを入れた。
  

⏰:06/05/30 21:57 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#157 [ゆり]
「ゆりちゃんさ〜アイツふったでしょ」

「アイツ?あぁ…うん」

「やっぱり先輩が好きなんだ…?」


「うん…」


「…じゃあ男避けに指輪すればいーのに」


あたしの指には今まで指輪が光った事なんてない。

 

⏰:06/05/30 21:59 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#158 [ゆり]
「いいよ…別に」

あたしは口を閉じて俯いた。

高橋さんで頭がいっぱいになる。

別れてからも
思い出さない日はなかった。

でももうダメなんだよ。
戻れない。
好い加減大人にならなきゃ。
 

⏰:06/05/30 22:01 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#159 [ゆり]
「ごめん、俺お節介言ったわ、ごめんね?」

隼人が心配そうに顔を覗き込む。

「あっううん!ごめん、大丈夫だよ」

あたしは笑顔で答えた。


その日は駅まで送ってもらい帰宅した。


でも隼人と話してると
少しずつだけど
高橋さんを思い出に出来てる気がした。
 

⏰:06/05/30 22:03 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#160 [ゆり]
それからも隼人はあたしの話しを聞いてくれて、
とにかく優しかった。

(まぁどうせ下心ありだもんな…
ヤレりゃいいんだよ)

裕也との出来事であたしは冷めてた。

でも隼人は違った。

二人きりで居ても手を出してこなかった。

イメージがイメージだっただけに意外で
どんどん隼人が気になる存在になっていった。
 

⏰:06/05/30 22:07 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#161 [ゆり]
だけどやっぱり彼はチャラ男で、
ある日の放課後
金髪ギャルと歩いてるのを目撃した。

あの時の光景はまだ目に焼き付いてる。


(はぁ〜?何やっとんの…ッ)

あたしは苛々してる自分に気付いた。

明らかに嫉妬だ。


だけどあんなチャラ男
好きになる訳ない。

自分に言い聞かせてた。
 

⏰:06/05/30 22:09 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#162 [ゆり]
6月の半ば
雨が降る夜。

あたしは高橋さんを思い出していた。

こんな夜は特に記憶がクリアに蘇る。
まるで昨日の事みたいに。


傘を忘れたあたしは
近くの本屋の前で雨宿りをしていた。

(あーぁ…どうしよ)

迎えに来てくれる人もいないし、
家までは30分かかる。
 

⏰:06/05/30 22:12 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#163 [ゆり]
(濡れるしかないか)

そう思って行こうとすると
見慣れたヘッドライトが見えた。

本屋の前に停まり、
助手席の窓が開いた。


「やっぱりゆりちゃんだ」

中からは懐かしい…
高橋さんの顔と声。


あたしはびっくりして声が出なかった。
 

⏰:06/05/30 22:15 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#164 [ゆり]
「風邪ひくよ?乗って」

その声に誘導される様に
助手席のノックも忘れ
香水も香ったまま
車に乗り込んだ。


「久しぶりだね、学校帰り?」

「…あっハイそうです」


いきなりの事態にあたしは困惑していた。

「髪巻き巻きじゃん〜大人っぽくなったね」

そう言って自然に左手であたしの髪に触れる。
 

⏰:06/05/30 22:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#165 [ゆり]
「エクステ付けたから…」

「そーなんだ〜高校の時はギャルって感じだったのにね(笑)」


会ってなかった時間が嘘みたいに
高橋さんとの距離が埋まる。

でも何かが違う。
そう思ったんだ。
 

⏰:06/05/30 22:32 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#166 [ゆり]
やっぱり薬指には証が光っていた。

「高橋さんは変わらずかっこいーですね(笑)」

「まぁね〜」

「否定しないとこも変わってないし!笑
彼女さんとは仲良くやってる?」

「ん〜まぁ…」


彼女さんの話題になると言葉を濁すとこも、変わってないな。

そうやって少しは気遣ってくれてたんだよね。
 

⏰:06/05/30 22:34 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#167 [ゆり]
他愛ない話しをしながら
軽くドライブをして
家の前に着いた。


「ありがとうございました☆」

シートベルトを外すと
同時に高橋さんも外した。

次の瞬間
抱き寄せられて唇が重なった。
 

⏰:06/05/30 22:36 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#168 [ゆり]
本当に不意打ちだった。
あの頃と変わらないキスだった。


唇を離すと
下を向いて呟く様に高橋さんが言った。

「あー…やっぱ好きだわ…」


あたしは聞こえないフリをしてドアを開けて外に出た。

「おやすみなさい♪」

そう言って走ってマンションに入った。

また繰り返してしまいそう。

どこまであたしは馬鹿なんだろう。
 

⏰:06/05/30 22:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#169 [ゆり]
次の日−

あたしは昨日の事を考えながら机にひじを付き、ボーッとしていた。

「ゆりちゃん?」

話し掛けてきたのは隼人だった。

「元気ないじゃん、何かあった?」


あたしは金髪ギャルの事がよぎった。

だから挑発する様に言った。
 

⏰:06/05/30 22:42 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#170 [ゆり]
「昨日先輩に会った」

一瞬時間が止まった感じがした。

「え…?」

「偶然会って、傘なかったから送ってもらったの」

明らかに隼人が不機嫌になるのがわかった。

「ふーん、そうやって繰り返してなんか意味あんの?」

そう言って教室を出て行った。

今思えば
お互い想い合ってたから
傷付け合ってたんだ。
あの時は気付けなかった。

⏰:06/05/30 22:45 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#171 [ケン]
電車男を読んだ時くらいワクAしてます(・∀・)

⏰:06/05/30 22:45 📱:N900i 🆔:qGJlRvR.


#172 [ゆり]
ケンさん☆読んで貰えて嬉しいです(*´∪`*)本当にありがとデス☆★

⏰:06/05/30 22:48 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#173 [ゆり]
だからあたしは
その夜かかってきた高橋さんからの電話に出てしまった。


「もしもし」

「あ、ゆりちゃん?今仕事終わったんだけど少し会えない?」


隼人の言葉が頭を回った。

繰り返す?
意味があるか?

でも、
だって、

あんただって女の子と遊んでるじゃん。
 

⏰:06/05/30 22:51 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#174 [ケン]
マジハマったし(☆。☆)更新楽しみに待ってます♪♪

⏰:06/05/30 22:52 📱:N900i 🆔:qGJlRvR.


#175 [ゆり]
「…うん、いいよ」


こうしてその夜、
高橋さんに会った。


後部座席でキスをして、
シートを倒した。


首筋を舌でなぞられた瞬間
高橋さんの伸びたえりあしが
隼人に見えた。


気付いたら高橋さんを拒んでた。
 

⏰:06/05/30 22:53 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#176 [ゆり]
「ごめんなさい…」

あたしはそれ以上出来なかった。

「あたし…好きな人がいる…」

言葉にしたら
涙が溢れてきた。


高橋さんは頭を撫でて、
寂しそうに、
だけど優しく笑ってくれた。

「本当にもう会わない…ごめんなさい」
 

⏰:06/05/30 22:56 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#177 [ゆり]
帰り
初めてキスをせずに車を下りた。

「さよなら」

今度は笑顔で言えた。


こうして本当の意味で愛を教えてくれた人と、
永遠に別れた。
  

⏰:06/05/30 22:58 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#178 [ゆり]
あたしは昔から
無い物ねだりはしないタイプで

多くは求めず生きてきた。

だから高橋さんにも
「彼女と別れて」
とは言わなかった。

言ったら今は変わっていたのかな。

自分が傷付くのが恐くて、
代わりに誰かを傷付けてきた。

それは今も変わらない、
あたしの悪い癖だね。
 

⏰:06/05/30 23:00 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#179 [ゆり]
部屋に入ると携帯が鳴った。

ピリリリリッピリリリリッ

着信:稲葉隼人

ピッ

「…はい」

「あ、ゆりちゃん?」

「…うん、どうしたの?」

「会いたいんだけど…」

なんか様子がおかしいのは分かった。

声が細く震えてたから。
 

⏰:06/05/30 23:04 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#180 [なみ☆]
気になる(*人´∀`)☆+゜*:。

⏰:06/05/30 23:45 📱:N900iS 🆔:Kj6408mU


#181 [ゆり]
なみチャンありがとォ〜★少し書きます☆

⏰:06/05/31 07:39 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#182 [ゆり]
あたしは彼に今居る場所を聞いて、

終電ギリギリに滑り込み急いだ。


心配で胸が痛かった。


改札を抜けると
切符売り場の所に
見慣れたメッシュ頭が見えた。

 

⏰:06/05/31 07:40 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#183 [ゆり]
「稲葉くん!」


走って行き顔を覗き込むと
なんとも言えない、

傷付いたような顔をしてた。


「大丈夫?」


瞬間、腕を掴まれて抱きしめられた。


意味がわかんなかった。
 

⏰:06/05/31 07:42 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#184 [ゆり]
「ちょッ…どーした…」

次の瞬間にはキスされてた。

なんで男ってこういきなりするんだろう。

深くて
長くて
切なくて

あたしは唇を離した。

「苦し…」

静かな改札で
上がった息だけ響いてた。
 

⏰:06/05/31 07:45 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


#185 [ゆり]
隼人は黙ったまま
俯いていた。


息が整ったと同時に
「寒くない?」
とあたしは聞いた。


大丈夫と言ったけど
風邪引きそうで心配で…

でも終電はもうなかった。
 

⏰:06/05/31 07:49 📱:V703SH 🆔:SVEbQfnA


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