〇ニ番目の四季〇
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#161 [ゆり]
だけどやっぱり彼はチャラ男で、
ある日の放課後
金髪ギャルと歩いてるのを目撃した。

あの時の光景はまだ目に焼き付いてる。


(はぁ〜?何やっとんの…ッ)

あたしは苛々してる自分に気付いた。

明らかに嫉妬だ。


だけどあんなチャラ男
好きになる訳ない。

自分に言い聞かせてた。
 

⏰:06/05/30 22:09 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#162 [ゆり]
6月の半ば
雨が降る夜。

あたしは高橋さんを思い出していた。

こんな夜は特に記憶がクリアに蘇る。
まるで昨日の事みたいに。


傘を忘れたあたしは
近くの本屋の前で雨宿りをしていた。

(あーぁ…どうしよ)

迎えに来てくれる人もいないし、
家までは30分かかる。
 

⏰:06/05/30 22:12 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#163 [ゆり]
(濡れるしかないか)

そう思って行こうとすると
見慣れたヘッドライトが見えた。

本屋の前に停まり、
助手席の窓が開いた。


「やっぱりゆりちゃんだ」

中からは懐かしい…
高橋さんの顔と声。


あたしはびっくりして声が出なかった。
 

⏰:06/05/30 22:15 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#164 [ゆり]
「風邪ひくよ?乗って」

その声に誘導される様に
助手席のノックも忘れ
香水も香ったまま
車に乗り込んだ。


「久しぶりだね、学校帰り?」

「…あっハイそうです」


いきなりの事態にあたしは困惑していた。

「髪巻き巻きじゃん〜大人っぽくなったね」

そう言って自然に左手であたしの髪に触れる。
 

⏰:06/05/30 22:28 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#165 [ゆり]
「エクステ付けたから…」

「そーなんだ〜高校の時はギャルって感じだったのにね(笑)」


会ってなかった時間が嘘みたいに
高橋さんとの距離が埋まる。

でも何かが違う。
そう思ったんだ。
 

⏰:06/05/30 22:32 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#166 [ゆり]
やっぱり薬指には証が光っていた。

「高橋さんは変わらずかっこいーですね(笑)」

「まぁね〜」

「否定しないとこも変わってないし!笑
彼女さんとは仲良くやってる?」

「ん〜まぁ…」


彼女さんの話題になると言葉を濁すとこも、変わってないな。

そうやって少しは気遣ってくれてたんだよね。
 

⏰:06/05/30 22:34 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#167 [ゆり]
他愛ない話しをしながら
軽くドライブをして
家の前に着いた。


「ありがとうございました☆」

シートベルトを外すと
同時に高橋さんも外した。

次の瞬間
抱き寄せられて唇が重なった。
 

⏰:06/05/30 22:36 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#168 [ゆり]
本当に不意打ちだった。
あの頃と変わらないキスだった。


唇を離すと
下を向いて呟く様に高橋さんが言った。

「あー…やっぱ好きだわ…」


あたしは聞こえないフリをしてドアを開けて外に出た。

「おやすみなさい♪」

そう言って走ってマンションに入った。

また繰り返してしまいそう。

どこまであたしは馬鹿なんだろう。
 

⏰:06/05/30 22:39 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#169 [ゆり]
次の日−

あたしは昨日の事を考えながら机にひじを付き、ボーッとしていた。

「ゆりちゃん?」

話し掛けてきたのは隼人だった。

「元気ないじゃん、何かあった?」


あたしは金髪ギャルの事がよぎった。

だから挑発する様に言った。
 

⏰:06/05/30 22:42 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


#170 [ゆり]
「昨日先輩に会った」

一瞬時間が止まった感じがした。

「え…?」

「偶然会って、傘なかったから送ってもらったの」

明らかに隼人が不機嫌になるのがわかった。

「ふーん、そうやって繰り返してなんか意味あんの?」

そう言って教室を出て行った。

今思えば
お互い想い合ってたから
傷付け合ってたんだ。
あの時は気付けなかった。

⏰:06/05/30 22:45 📱:V703SH 🆔:vYkyxf/c


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