〇ニ番目の四季〇
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#176 [ゆり]
「ごめんなさい…」
あたしはそれ以上出来なかった。
「あたし…好きな人がいる…」
言葉にしたら
涙が溢れてきた。
高橋さんは頭を撫でて、
寂しそうに、
だけど優しく笑ってくれた。
「本当にもう会わない…ごめんなさい」
:06/05/30 22:56 :V703SH :vYkyxf/c
#177 [ゆり]
帰り
初めてキスをせずに車を下りた。
「さよなら」
今度は笑顔で言えた。
こうして本当の意味で愛を教えてくれた人と、
永遠に別れた。
:06/05/30 22:58 :V703SH :vYkyxf/c
#178 [ゆり]
あたしは昔から
無い物ねだりはしないタイプで
多くは求めず生きてきた。
だから高橋さんにも
「彼女と別れて」
とは言わなかった。
言ったら今は変わっていたのかな。
自分が傷付くのが恐くて、
代わりに誰かを傷付けてきた。
それは今も変わらない、
あたしの悪い癖だね。
:06/05/30 23:00 :V703SH :vYkyxf/c
#179 [ゆり]
部屋に入ると携帯が鳴った。
ピリリリリッピリリリリッ
着信:稲葉隼人
ピッ
「…はい」
「あ、ゆりちゃん?」
「…うん、どうしたの?」
「会いたいんだけど…」
なんか様子がおかしいのは分かった。
声が細く震えてたから。
:06/05/30 23:04 :V703SH :vYkyxf/c
#180 [なみ☆]
気になる(*人´∀`)☆+゜*:。
:06/05/30 23:45 :N900iS :Kj6408mU
#181 [ゆり]
なみチャンありがとォ〜★少し書きます☆
:06/05/31 07:39 :V703SH :SVEbQfnA
#182 [ゆり]
あたしは彼に今居る場所を聞いて、
終電ギリギリに滑り込み急いだ。
心配で胸が痛かった。
改札を抜けると
切符売り場の所に
見慣れたメッシュ頭が見えた。
:06/05/31 07:40 :V703SH :SVEbQfnA
#183 [ゆり]
「稲葉くん!」
走って行き顔を覗き込むと
なんとも言えない、
傷付いたような顔をしてた。
「大丈夫?」
瞬間、腕を掴まれて抱きしめられた。
意味がわかんなかった。
:06/05/31 07:42 :V703SH :SVEbQfnA
#184 [ゆり]
「ちょッ…どーした…」
次の瞬間にはキスされてた。
なんで男ってこういきなりするんだろう。
深くて
長くて
切なくて
あたしは唇を離した。
「苦し…」
静かな改札で
上がった息だけ響いてた。
:06/05/31 07:45 :V703SH :SVEbQfnA
#185 [ゆり]
隼人は黙ったまま
俯いていた。
息が整ったと同時に
「寒くない?」
とあたしは聞いた。
大丈夫と言ったけど
風邪引きそうで心配で…
でも終電はもうなかった。
:06/05/31 07:49 :V703SH :SVEbQfnA
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