〇ニ番目の四季〇
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#411 [ゆり]
リビングに行き
にゃんこの皿にエサを入れる。

「遅くなってごめんね…
寂しかった?」

お皿に顔を沈める頭を撫でながら聞いた。

意味わかんないけど
何故か涙が出た。


寂しいって言葉に出すと
ダメだなやっぱり。


あたしは自分の情けなさに少し笑った。
 

⏰:06/06/08 21:45 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#412 [ゆり]
部屋に入って
隼人に「家着いたよ」ってメールする。

おかえりって返事をくれる。


そんな毎日の日課が
あたしの涙を止めてくれた。
 

⏰:06/06/08 21:47 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#413 [ゆり]
次の日

携帯のアラームより早く目が覚める。
起こしてくれる人がいないから
自然に目が覚める体になったみたい。

「よッしゃ、起きよ」

顔を洗って
歯を磨いて
にゃんこにエサをあげて
夜に干した洗濯物をたたむ。

部屋に戻るとテレビを付けて
化粧をして髪をセットする。

毎日同じ繰り返し。

こんな当たり前の毎日の中に
隼人が現れたんだ。
 

⏰:06/06/08 21:51 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#414 [ゆり]
あたしの存在を願ってくれる人がいる。

あたしの存在を求めてくれる場所がある。


それだけで

あたしは眠れず
自分の体に傷を刻んだ夜を

越える事ができたのかもしれない。
 

⏰:06/06/08 21:53 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#415 [ゆり]
人は所詮孤独だし
ひとりだって思う事はきっと
仕方ない。

それでも誰かを求めて
求めてもらえた時

絶対にどこかが埋まる。

諦めなければ変わる。

綺麗事が嫌いなあたしが
自分で見つけた答え。

傷は酷く痛むけど
意外に浅いかもしれない。
 

⏰:06/06/08 21:55 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#416 [ゆり]
「ゆり〜おはよ〜」

「う〜わ眠そうだね」

爽やかな気分が
隼人の寝ぼけた顔で笑いに変わる。

駅から学校までの道を二人で歩いていると
後ろから声がした。

「隼人〜!?」

ビクッとする。
振り返ると

忘れもしない

あの金髪ギャルが立っていた。
 

⏰:06/06/08 21:57 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#417 [ゆり]
隼人と付き合う前
二人が一緒に歩いてるのを見た事がある。

あえて聞いてないけど
多分元カノ…かな。



今すぐこの場を去りたい。

でも動けない。


「まい…」

隼人は驚いた声で言った。

絶対に聞きたくなかった。

違う女の子の名前を呼ぶ声。
 

⏰:06/06/08 22:01 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#418 [ゆり]
「まいだよ〜ッ♪めっちゃ久しやない!?
何してんのー!?」

ショートパンツにビーサンで
黒い肌に痛んだ髪を指でいじりながら近付いてくる。

あたしはとりあえず笑顔だったと思う。

「友達?」

隼人を見上げて聞く。

「あ…うん」

隼人は焦った様に答えた。
 

⏰:06/06/08 22:04 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#419 [ゆり]
「あたし先行ってるね」

「え…ちょっと待って」

笑顔でそう言って
隼人の言葉を聞かずに
彼女に軽く頭を下げて
学校に向かって歩き出した。

背筋を伸ばして歩く事が
精一杯。

「もーやだ…」

青い空と白い雲が滲む。
涙を堪える。

隼人の過去が
まだあたしに纏わり付く。
振りほどけない。
 

⏰:06/06/08 22:07 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


#420 [ゆり]
あたしは一人で校舎に入った。

涼しさで
少し溜まってた涙が引いた。


「あれ〜先輩今日一人ですか?」


階段を上ろうとしたあたしに
話しかけてきたのは

新歓で話した爽やかボーイだった。
 

⏰:06/06/08 22:09 📱:V703SH 🆔:PKNwmvDo


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