〇ニ番目の四季〇
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#440 [ゆり]
ウルトラマリンの香りがした。
出会った夏に
隼人がつけてた香水。
止まった涙がまた出てきた。
もう最悪だ。
こんな姿
絶対誰にも見られたくなかった。
嫉妬深いとか
泣き虫とか弱虫とか
情けなさを越えて
アホだ。
でも涙が勝手に出てくる。
やっぱりめちゃくちゃ辛い。
:06/06/10 23:50 :V703SH :VZSgLcbs
#441 [ゆり]
「先輩が出てくの見えたから
講義抜けて来ちゃった」
普通の声でそう答える。
でもあたしの事抱きしめてる。
あんま人も車も通らないけど
そうえばここ道端だよ。
俯きながら慶太の体を両手で押して離す。
「ごめん。
少し鼻水付けた」
「いいよ(笑」
:06/06/10 23:53 :V703SH :VZSgLcbs
#442 [ゆり]
慶太の右手は
あたしの左手を握って離さない。
「なんでもないから…ありがと」
あたしはそう言いながらまた鼻をすすった。
「またまたぁ〜
そんな事言っちゃって(笑」
はー
なんなの
朝からいちいち
カンに障る言い方。
笑い事じゃないのに。
:06/06/10 23:54 :V703SH :VZSgLcbs
#443 [ゆり]
「あたし帰るから慶太も学校戻ってね」
「やだ〜先輩といる」
「…」
あたしは何も言わずに180度方向を変えて
駅に向かった。
「やっぱり彼氏と喧嘩したんでしょ〜笑」
「…」
ほんとムカつく男だな。
お陰で悲しみが怒りに変わったよ
ありがとう。
:06/06/10 23:57 :V703SH :VZSgLcbs
#444 [ゆり]
「先輩歩くの早ぇ〜笑」
その笑いを含んだ無神経な言葉に
イラッとして舌打ちした。
「怒った〜♪笑」
「…」
よし。
もう無視しよう。
あたしはさらに歩くスピードを上げた。
その瞬間に
慶太が言った。
:06/06/11 00:02 :V703SH :tJhX7XgE
#445 [ゆり]
「センパ〜イ。
先輩の彼氏浮気してましたよ」
「…」
「さっき駅と逆に歩いてたの見た〜
寄り添いながら女と二人で。」
「…」
「先輩がいるのにね〜
まぁ遊んでそうだし」
「…」
:06/06/11 00:04 :V703SH :tJhX7XgE
#446 [ゆり]
駅到着。
定期を出して
改札を通る。
頭の中は
さっきの言葉が具体化された映像。
隼人が
他の人と…ね。
まぁ予想はしてたし。
平気だよ
全然。
:06/06/11 00:05 :V703SH :tJhX7XgE
#447 [我輩は匿名である]
:06/06/11 01:57 :SH902i :wCn1e0/Y
#448 [ゆり]
「先輩〜どっか行こーよ」
「…まだいたの」
「あれ?もしやショック受けてるんですか?」
「…余裕だよ」
慶太はにこっと笑ってあたしの手を取った。
その行為も
なんかどうでもいい感じだった。
だから慶太に引かれるまま電車に乗った。
:06/06/11 22:24 :V703SH :tJhX7XgE
#449 [ゆり]
「雨降りそーだし〜俺ん家行く?」
「…なんでだよ(笑」
「あ、笑った!よかった」
子供みたいに笑う。
くしゃくしゃの茶色い髪と
少し長めのえりあし
ウルトラマリンの香り
結局頭は隼人の事ばっかりだ。
今何してるんだろう。
:06/06/11 22:26 :V703SH :tJhX7XgE
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