〇ニ番目の四季〇
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#520 [ゆり]
「隼人…帰ろ」
あたしは隼人の袖を少し引っ張って
立ち上がった。
隼人は何も言わないまま
立ち上がって歩き出した。
少し距離を空けて
ついていった。
電車に乗り込んで
学校のある駅で降りた。
二人なにもしゃべらないまま。
:06/06/15 20:36 :V703SH :qO6SEqHA
#521 [ゆり]
「もうこっから一人で帰れる…ありがとう」
隼人の背中に声をかけた。
「…うん」
そう言って
歩いて行った。
初めて突き放された感じがした。
だっていつもの隼人なら
ありえないくらい心配してくれるのに。
:06/06/15 20:42 :V703SH :qO6SEqHA
#522 [ゆり]
そういえば
いつも隼人があたしを見送ってくれて
隼人の歩いてく後ろ姿って
見た事なかった。
優しさに甘え過ぎてた。
分かってたけど
優しく出来なくて
本当にごめんね。
:06/06/15 20:44 :V703SH :qO6SEqHA
#523 [ゆり]
ボーッとしたまま
ホームまでの階段を下りる。
隼人
ごめん。
ごめんね。
立ったまま
何本か地下鉄を見送った。
「えッまじ!?」
声がした。
少し左に視線をズラすと
あたしの顔を覗き込む
慶太がいた。
:06/06/15 20:49 :V703SH :qO6SEqHA
#524 [ゆり]
「…」
あたしはまた真っ直ぐに視線を移動した。
「無視?!笑」
「…話し掛けないで…」
泣きそうで
それしか言えなかった。
慶太は何も言わずに
手を引っ張って歩き出した。
「ちょ…やだってばぁ」
結局また泣いてしまった。
最近情緒不安定。
なんで?
どうして隼人が来ないの?
:06/06/15 20:56 :V703SH :qO6SEqHA
#525 [ゆり]
振り払おうとしても
慶太は何も言わなくて
だけど後ろ姿が
少し怒ってる様に感じた。
「もーやだぁ…」
歩くスピードは上がって
よくわからないまま
違う乗り場に行って
電車に乗った。
:06/06/15 21:00 :V703SH :qO6SEqHA
#526 [ゆり]
人がいっぱい乗ってたのに
あたしは下を向いて泣いてた。
慶太は手を離さなかった。
着いたらしく
また手を引かれ電車を降りた。
慶太があたしの定期を出して乗り越し精算をして
切符を渡してきた。
:06/06/15 21:03 :V703SH :qO6SEqHA
#527 [ゆり]
受け取って
改札を抜けた。
外は真っ暗だった。
早足で着いた先は
慶太のアパートだった。
あたしはまだ泣いていた。
涙はいつまで出てくるんだろう。
:06/06/15 21:09 :V703SH :qO6SEqHA
#528 [ゆり]
慶太は無言で鍵を開けて
手を引いて部屋に入った。
しまってないカーテンから
月明かりだけが部屋を照らしていた。
電気も付けずに
あたしをベットに押し倒した。
:06/06/15 21:12 :V703SH :qO6SEqHA
#529 [ゆり]
涙は出たまま
頭もボーっとしてる。
少し息の上がったあたしの唇に
慶太の唇が触れた。
ふわふわの布団と
優しい月明かりと
慶太の熱いくらいの体温が
冷え切ったあたしに染み渡った。
:06/06/15 21:17 :V703SH :qO6SEqHA
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