〇ニ番目の四季〇
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#66 [ゆり]
他愛ない話しをしながら、あたしは波際に近付いた。

「ゆりちゃん靴汚れるよ(笑)」

「大丈夫大丈夫!」


はしゃいでないと苦しい。

やっぱり手放しには楽しめない。

  

⏰:06/05/28 16:22 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#67 [ゆり]
少しずつ想い出が増えて
どんどん好きになって

高橋さんで頭がいっぱいになる。


同時に彼女の存在がよぎる。

(この場所にも二人で来たのかな…)


気を張ってないと涙が溢れそうだった。 
  

⏰:06/05/28 16:24 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#68 [ゆり]
沈みかけてる夕日の映る水面を眺めていた。

「ゆりちゃん!」

ぐいっと後ろに引っ張られた。

「わッ」

足が縺れて高橋さんの胸によろけてしまった。

「危ないな〜思いっきり波来てたよ?濡れてない?」


「大丈夫…」

胸に顔を埋めた。
高橋さんの匂いがした。
高橋さんは何も言わずに抱きしめてくれた。

⏰:06/05/28 16:27 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#69 [ゆり]
胸が苦しくて苦しくて、
だけど涙だけはこらえた。


ピリリリリッ

びっくりして体を離す。

高橋さんの携帯だ。

「…ちょっとごめんね」

少し離れて高橋さんは電話に出た。

彼女さんだろうな、と思った。

話しを聞かない様にわざと波の音に集中した。

辺りはすっかり暗くなっていた。
  

⏰:06/05/28 16:29 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#70 [ゆり]
高橋さんが戻ってきた

「ごめんね、そろそろ行こうか」

「うん!」

あたしは笑顔で答え
手を繋いで車まで戻った。

帰る間、
ずっと窓の外を見てた。
泣きそうだったから。

車の中でキスをしてバイバイした。
  

⏰:06/05/28 16:31 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#71 [ゆり]
あの後高橋さんは
彼女を職場まで迎えに行ったみたい。


(あーぁ…やっぱキツイな)


それでも傍に居たかった。
本当
バカみたいだけど。

昼間にデートしたのはこれを入れて数回。

あたしはどんどん都合のいい女になった。   

⏰:06/05/28 16:33 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#72 [ゆり]
10月の半ば

「俺んち行こっか〜」

「行こ行こ〜♪」

学校帰り
相変わらず高橋さんの助手席に乗ってあたしははしゃいでいた。


「今日誰もいないから」

ガチャッ

そう言って鍵をあける。

「おじゃましまーす」

あたしはローファーを脱いであがった。
 

⏰:06/05/28 16:35 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#73 [ゆり]
部屋は8畳くらいで
コンピューターとかベースとか置いてあってやっぱりかっこよかった。

「おー!綺麗〜」

「だろ?(笑)ジュース持ってくるから座ってて」

(律義だな(笑))

あたしは床に座ってそわそわしてた。

ガチャッ

「はい、ゆりちゃんはオレンジジュースね」

「わぁーい☆ありがとう」

コップを両手で持って飲んだ。

⏰:06/05/28 16:37 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#74 [ゆり]
「ほんと子供みたいだな(笑)」


あたしは子供らしさを演じてた。

彼女とは全く別のタイプでいたかったから。



それからベタだけどアルバムとか見せてもらった。
写真には彼女さんも映ってた。

⏰:06/05/28 16:39 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


#75 [ゆり]
「わ〜彼女さん綺麗だね〜♪」

精一杯の強がりだった。

ベットにもたれて写真をめくる。


あたしの知らない場所
知らない顔
知らない高橋さん。

(あたしって一体なんなんだろ…)

急に虚しくなってきた。
 

⏰:06/05/28 16:40 📱:V703SH 🆔:a4CPZqco


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