沢山の出会い２

タケさんは
マイクを使って
歌わない。

ギターの音も
デパートから流れる
クリスマスソングや

カップル達の
はしゃぎ声に
かき消されていた。

でも
タケさんが
路上で歌ってるのは
確かだ･･･｡

だって･･･

だって･･･

いるんだもん｡
私と有吉さんが
歩いてる20ｍ
前くらいに･･････｡

２０ｍくらい
前に･･･｡

サンタクロースの
格好で必死に
歌っている

武山晋二。

･･････(ﾟДﾟ;)!!

こっ････このっ
このっ････
コノヤロー！！

武山晋二の
バカヤロー(;･∀･)！！

頼むから
今すぐ消えてくれ！

気付かれませんように…

お願いだから
私に気付かないで…

どうしたら
タケさんにバレないかな

変顔する！？
ダメダメ！
余計みんなの注目を
浴びるだけだ！

白眼とか！？
それもダメ！

私がいきなり
白眼をむいたら
有吉さんが
びっくりしちゃう(･∀･)

それに白眼を
むいた女なんか
一緒に連れて歩きたく
ないよね･･･｡

どうしよう･･･｡

こうなったら･･･｡

私は山咲あやでは
ありません(･∀･)

ただの女です。
ただの冴えねぇ
田舎者です(･ω･)

みたいな顔で
平気なフリして
歩くしかないな･･･｡

キョドったら
余計怪しまれるし｡

タケさんの所まで
あと１０ｍ。

タケさんの周りには
３～４組の
カップルが
群がっている。

上手くいけば
バレずに
素通り出来る！！

落ち着け･･･｡

落ち着くんだ
山咲あや･･･｡

ドキン･･･
ドキン･･･

あと５ｍ。

有吉さんと
一緒に居るときだけは

タケさんに
会いたくなかった。

しかも
クリスマス
デート中に会うなんて

有吉さんとの仲の良さを
タケさんに
見せ付けてるみたいで
嫌だった。

タケさんから見れば
本当に最低な女だと思う。

クリスマスに
寒空の中
一人で歌うタケさん。

その目の前を
デートの誘いを
断った女が
彼氏と手を繋ぎながら
歩いていく。

こんなに
残酷な事はない。

タケさんがいる路上を
通るなんて
知らなかったとはいえ､

私は
タケさんに対しても

有吉さんに対しても

罪悪感でいっぱいだった。

あと３ｍ。

タケさんは
カップルたちのために

クリスマスソングを
歌っていた。

その歌もいよいよ
終盤にさしかかった

その時･･･｡

バチッ･･･｡

おもいっきり
目が合った。

････｡
終わった(･∀･)ﾁｰﾝ

終わった。

私の人生終わった。

大袈裟だけど､
何の苦労もなく
今までマイペースに
のんびり生活してきた
私にとって､

この状況は
地獄そのものだった。

どうしよう･･･(･∀･)

こんな時
どうするべき？

普段使わない
頭をフル回転させる。

私の行動次第で
全てが決まる･･･｡

最悪の場合

有吉さんにクリスマスに
フラれる事になるかも
しれない。

さぁ､どうする！？

････(-ω-)

･･･(･∀･)!

タケさん無視しよ。

気付いてなかった
事にすれば
いいじゃん(･∀･)！

そう自分に
言い聞かせて

しれーっとした顔で
足を進めた。

タケさんまであと
２ｍ。

さっきの
クリスマスソングを
歌い終わり､

タケさんは
次の曲の
説明をしだした。

２ｍという
近距離にいる

私と有吉さんにも
強制的に
タケさん言葉が

耳に入る。

『･･･次の曲は俺の
片想いの相手の為に
作った曲です｡
クリスマスに一人で
こんなの歌うなんて
切ねぇけど､良かったら
聞いて下さい。』

私たちにも
充分聞こえるくらいの
大きな声で
タケさんがそう言った｡

もう･･･
やけくそに
なってたんだろうね｡

････｡
胸がすごく痛くなった。

『なんかあの
ミュージシャン､
可愛そうだなぁ･･･｡』

有吉さんが
同情混じりに
ぽつりと言った。

うん･･･｡
可愛そうだね｡
でもアイツの片想いの
相手って言うのが
なんとアンタの
彼女なんだよ(･ω･)

心の中で
有吉さんに
そう返事をした。

>>107訂正

可愛そう→可哀想

です(･∀･)

すいません

今日の更新は
ここまでです(･∀･)

また明日
時間があったら
更新します

更新が遅くてすいません

途中で投げ出すような
事は絶対しないので､
気長に待って頂けると
嬉しいです(*´ω`∩)