!!ｵﾜﾘﾖｹﾚﾊﾞｽﾍﾞﾃﾖｼ!!

決めかねていると

｢早い方がいいから｣

と先生に促され、３日後になった。

たった３日で決められるだろうか…

たくさんの不安を残しつつ診察室をあとにした。

お会計までまた少し待たされ、全て終わった頃にはもう日が暮れかかっていた。

まおに付き合ってくれてありがとうと言いつつ

頭の中はきょうちゃんとお腹の子の事でいっぱいやった。

まおと軽く何か食べに行くことになり、ファーストフード店に入る。

｢どうなんねやろ…｣

｢あんたはどうしたいん｣

｢わからん…きょうちゃん次第かな…｣

｢そら堕ろせ言われるやろ｣

｢………………………｣

そんな事、わかってても望み持ちたいやん…

今一緒におるのがまおなのを少し恨んだ。

まおはもっともな意見をくれてたし、あんたがそんなんでどおすんの！って励ましたかったんやと思うけど

あの時の私は甘ったれで

｢よしよしかわいそうに｣

って言ってほしかった…

多分すごい被害者面してたと思う。

まおが少しイライラしだした頃、きょうちゃんからやっと電話がかかってきた。

｢あん？どした？｣

いつもと変わらない優しい声…

｢会って話したいから今日行ってもいい？｣

きっときょうちゃんは別れ話と思ったに違いない。

切り際の彼は少し寂しそうやった。

まおは一緒に来たがったけど余計にややこしくなるに決まってたから

｢一人でも冷静に話せるから｣

と言ってここで別れた。

ｸﾘﾆｯｸときょうちゃんちの最寄駅は一緒だったので歩いてきょうちゃんちまで向かう。

近道のためいつも夜のお店が立ち並ぶ通りを通る。

まさおみの店も途中にある。

いつもの景色が、その日はやけにゆっくりに見えた。

キャッチしてるホスト

客引きの外国人

どの店にしようか悩んでるサラリーマン

すでに酔い潰れてる学生

こんなに人がおるんやから、私より不幸な人なんぼでもおるやろな～

とかわけのわからん事を考えながら、いつもの坂に差しかかる。

信号待ちで足を止め、目線を上にやる。

｢きょうちゃん…｣

向こう側に、心配そうな顔したきょうちゃんが立ってた。

飛び付きたいくらい、嬉しかった。

青にかわると同時にかけよると、

｢何かあったんか？てか、今日ちゃんとバイト行った？｣

って言われた。

｢バイトは風邪ってゆうて休んでもたぁ｣

｢そっかぁ…｣

それからほんとんど言葉を交わすこともなく家に帰った。

そしてまたしばらくの沈黙…

｢…｣

｢……｣

｢………｣

｢…………｣

『あんさぁ…』

二人同時に話し始めたことに、少し緊張がほぐれる。

｢あんからどうぞ｣

そう言われやっと話す決心がつく。

話す言葉は決まってた。

でも、顔見て話す勇気は無くて

｢あんなぁ…今月生理遅れてて…検査薬したらできててん…｣

それだけ言うのが精一杯やった。

きょうちゃん、どんな顔してる？

どうしよう…

他にもっと何か言ったった方がいい？

他に言葉が見つからへんまま黙る私に

｢病院は…行ったん？｣

｢まおと一緒に、行ってきた｣

きょうちゃんの顔に焦りが見えた。

病院行ってちゃんと調べなわからんやんって思った？

そんな望みも消えてガッカリ？