Where is the love？

『恋ってツラい』

『彼氏に浮気された～最悪！』

…全然分からない。
何がツラいの？浮気？そんなにショックな事？なら別れたらいいじゃん。

…分からない。恋する気持ち。

分からなかった。

２年前までは。

とりあえず顔を洗おうと下に降りて鏡を見た瞬間ビックリ！

目が！！

ない！！！

それはもう幽霊よりもはるかに恐ろしい顔。自分で言うのも可哀想なくらい気持ち悪い顔。

泣いて目が腫れるってもっと乙女ﾁｯｸなものかと思ってたけど…そうじゃないのねん。

絶対お母さんにバレるやん！嫌やなぁ。

悩んだ私はある作戦に出た。

『おはよう～。なんか昨日から体調悪くてさぁ。起きたら目腫れててんけど？ヤバない？』

ﾖｯｼｬ！ﾅｲｽ自分！ｲｹﾙで！

『どうしたん！その顔！はっ！………ま、若いんやから！嫌な事もあるさ。元気出せ！』

ﾋｮｰ。ﾊﾞﾚてるぅ。ていうか絶対途中で気付きよったな。

あ～かっこわる。

ﾄﾎﾞﾄﾎﾞと２階に上がり部屋へ入るともう１度携帯を手にしてアキラからのメールを見た。

《俺やっぱりお前が居んと無理や…》

何言うてんねん！無理なのはこっちじゃ！目腫れすぎて困ってますけど！男なら女々しい事言わんと去りやがれ。

と思いながらもまた泣けた。またお母さんにバカにされるやんか。

朝ごはんも食べずに家を出た。アキラにメールは返さない。

毎朝通ってる道。毎朝アキラとの電話を欠かさなかった。

今日からは静かな朝になるなぁ。

車を運転しながら泣いている自分。泣いてばっかりや！

こういう事にも慣れていかなダメなのか。

仕事中はまだ気が紛れる分少し楽だった。

けれど私はとても意志が弱い。

自分が１番よく知っている。

あの居心地のよかった場所へいつ戻りたくなるか分からない。

どんなに仕事がツラくてもアキラが居てくれたから乗り越えられた。

でも今日から私は…強くならなければ。

仕事が終わり、その足で携帯SHOPへ向かった。
携帯を握りしめ、受け付けのお姉さんに

『ｽｲﾏｾﾝ。番号を変えてください。』

と言った。

電話がかかってきたら出てしまうかもしれない。メールがきたら嬉しくて返してしまうかもしれない。

ならば連絡をとる手段を断ち切ってしまうしかない。

こんな情けない方法しか思い付かなかった。

少し困った顔をしたお姉さんに

『何か理由がおありですか？』

と聞かれたので

『特にないです』

と答えた。まさか彼氏と別れたからなんて言えるはずもない。

すると

『申し訳ございませんが理由がないと番号変更はできないんです。』

えぇぇぇ！？マジですか！？

そんな大事な事は先言うてよ～。理由ないって今言うてもたや～ん。

『あ、やっぱり理由ありで。』

もうこうなったら無理矢理や。

『変な電話がﾑﾁｬｸﾁｬかかってくる…って事にしといて下さい！ﾎﾝﾏお願いします！』

恥は捨てた。あとはお姉さん、あなた次第です。