｢Pair Ring｣

出会えた事
　
好きになれた事
　
ｻﾖﾅﾗした事
　
ずっと忘れない
　
あなたは幸せですか？
　
幸せでしたか？
　
愛してる君へ...
　
PairRingを贈ります

次の日､裕典からメールがきた｡

『会いたい…』

絵文字もない､たった一言だけのメールだった｡
家の近くの公園で会う事になった｡もう会わないと決めたはずなのに､体は公園に向かっていた｡
徒歩で公園に向かった｡

もう外は寒くて白い息が出た｡今日は星が出てなかった｡
明日は雨かな…

私が公園につくと裕典はもう到着していた｡一人でブランコに座っていた｡私は無言で隣のブランコに座った｡

｢来てくれてありがとう…俺…何かちぃに悪い事した？｣

静かにゆっくりと裕典が聞いてきた｡

｢…何で？｣

｢最近ちぃの態度が変だから｣

沈黙…
冷たい風が吹いて残りの二つのブランコが虚しく揺れた｡

キーｺッ…キーｺッ…

｢私…知ってるよ｡しおりちゃんとヨリ戻したって…｣

裕典はバッと立ち上がり

｢はあ？何言ってんの!!ヨリ戻してないし｡誰が言ってた？｣

｢カナがしおりちゃんから聞いたって｣

｢しおりが？俺､まじでヨリ戻してねぇし｣

混乱した…

｢あとね､妹とエッチしたとか女に暴力ふったとか…｣

｢意味わかんねーし｡誰だよ､そんな事言ってんの｡お前､俺じゃなくてそんな噂信じてんのかよ!!｣

頭に血が登ったみたいで裕典は怒鳴った｡
お前…裕典が私をそう呼ぶ｡
嫌…いつもみたいな笑顔でちぃって呼んでよ…

初めて裕典の怒った姿を見て自分の心の弱さに気付いた｡好きな男一人も信じれない自分に腹がたった｡

なにが好きだよ…

信じれなきゃ好きになる資格ないよ｡信じれなきゃ傍にいる意味ないよ｡

｢ごめんなさい…ごめんなさい…｣

私は謝る事しか出来なかった｡

｢バカだな…バカすぎてほっとけねぇよ｣

そう言って抱きしめられた｡いつもの裕典に戻っていた｡
その噂話がしおりちゃんの作り話だと知った｡
私はあの時何があっても裕典を信じると言ったのに…
抱きしめられながら涙が出そうになった｡

｢ねぇ…じゃあ何でずっとメールくれなかったの？ドタキャンばっかだし｣

｢実はな､おかんがこの前倒れてさ…今､入院してんだ｣

｢えっ､大丈夫なの？｣

｢まだ何とも言えない状況かな｣

｢ごめん､何も知らないのに勝手に勘違いして｣

｢言わなかった俺も悪いんだし｡次ドタキャンしたら結婚してやるよ!!笑｣

｢バカ…｣

家まで送ってもらい次に会う約束をした｡
３日後の夕方４時に決定｡

その夜､私はカナに電話をした｡

｢もしもし？千晴どうしたの？｣

｢今ね､裕典と会って話してきたの｡あの噂全部しおりちゃんの作り話だったんだって｣

｢…ふ～ん､そうなんだ｣

｢カナ？｣

カナの態度が少しおかしかった｡

｢良かったね!!カナ用事あるからまたね｣

ピｯ!!ﾌﾟｰﾌﾟｰﾌﾟｰ

カナ何かあったのかな…
その時もっと追求しておけば良かったと今になっては後悔が残る｡そしたらあんな事になってなかったのかもしれないのに…
　

３日後―…

裕典はドタキャンする事なく家に迎えにきた｡
車に乗るなり

｢ドタキャンしても良かったのに｡そしたらうちらは結婚!!｣

｢ばあか｡ちぃ料理出来なそうだもん｣

｢何～!？料理くらい出来るし!!｣

｢本当かよ｡じゃあ今後作って食べさせてな｣

｢うん､何食べたいか考えておいてね｣

目的地につくまで会話は盛り上がった｡２人でカラオケに向かった｡

部屋に入り選曲していると

｢今からちぃのために歌うから｣

そう言って選曲した曲は聞いた事がない曲だった｡しっとりとしたバラード｡あるフレーズを聞いた時ふいに涙が出た｡
　