不思議な出来事…

『…。』
『…ゆ…。』
『…じ。』
『…ゆーじ…。』
びっくりしておかんの方を見ると意識が戻るﾊｽﾞの無いおかんが喋っていた…

俺『どないした？のど渇いたんか？』
必死に喋りかける俺…

おかん
『いつまで起きてんや？』
『はよ２階行って寝ぇや…』
『寝る前にちゃんと歯磨きしぃや…』

おかんは家に居てる夢でも見てたんかなぁ…

俺は泣きながら必死におかんに答えた…
『ゴメンゴメン

もぉ寝るよ！』『ちゃんと歯磨いたよ！』
『もぉ寝るわなぁ！』
『また明日なぁ…』
『おやすみぃ

』

『はーいおやすみぃ

』
これが俺だけが聞いたおかんが言うた最後の言葉…

ふたたび何事も無かったかのようにおかんは黙ってしまった…

そのﾄｷ親父が起きたので交代して俺は少し寝るｺﾄにした…

３０分も経って無かったやろか…『おまえら起きろ

』
親父の凄い大声で飛び起きた。
その場には看護婦さんと担当医が集まっていた…

『お母さんの最後やからちゃんと見といたれ

』
親父のその言葉にいよいよなんやと思いおかんを最期まで見届けてあげた…

葬式も終わり家族は無気力な感じだった…
おかんが死んだなんてさえ思えなかった…
普通に買物袋をさげて帰ってさえしそうな雰囲気だった。
学校に復帰した俺はいつもと変わらない日々を過ごした。
授業を抜けてタバコを吸うたり、学校を抜け出して遊びにいったり。
だけど決まって何か悪さをする時にあのおかんの鼻につく臭いがした。
室内だけぢゃ無く風の強い外、タバコの煙で充満したトイレでも…その時は何も考えなかったがある日を境にその臭いはしなくなった…
それは４９日が終わったその日から…

人が死んで４９日間は死んだ人はこの世をさ迷っているらしい。
そして少しずつ自分が死んだ事を理解してあの世にいくらしい。
お坊さんが教えてくれた。
もぉその臭いがしぃひんて事はおかんはちゃんと旅立ったんやなぁて思った。

そんな不思議な事があったんだと親父に話すと思いもよらない言葉が返ってきた…

親父
『やっぱりな

』
『おかんらしーわ

』

俺
『何がよ

』

親父
『おかんはなぁ、死ぬ最期の最期までお前のｺﾄ心配してたんやで。』
『末っ子やしまだまだｶﾞｷやしなぁ。お父さんにもしっかり育ててくれって何回言うたｺﾄか

』
『だから心配になってずっとお前の周りにおったんちゃうか

』
『しまいにお前の前に出てくるかもなぁ

笑"』

そんなに心配されてたんや…
おかんは昔から俺だけには甘かったらしいしなぁ…

そう思うとまた泣きそうになった。
それ以来中途半端な霊感が付いた俺は何度か見てしまったりするが全然怖くない。

おかんが守ってくれてると思うからだ。
だけど残念ながらまだ１回もおかんは姿を表してくれない。

いつになったら出て来てくれんやろ

いっぱい話たいｺﾄがあるのに…

姉ちゃんが結婚して子供が生まれたｺﾄ…
俺がバカ高卒業してまさかの大学生になってるｺﾄ…
あんなけ仲の悪かった姉ちゃんと兄ちゃんが仲良くなったｺﾄ…
めちゃめちゃ恐かった親父がめっちゃ優しくなったｺﾄ…
まだまだいっぱいあるねんで。

おかん育ててくれてありがとぉな。

おわり