火燵
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#1 [やさぐれん] 08/10/17 01:45
例えば…俺に家はある。今まで築いた必死に築いた家がある。布団もあり、自分の熱で暖まるには困らない。その家に四年前に最高に暖かい、心地良い火燵を手に入れた。俺はその火燵にずっと入り浸りヌクヌクした。布団の存在など忘れるほどに。この火燵を手放したく無かった。冷めた布団等に戻りたく無かったし、火燵は永久に俺を暖めると言った。俺から離れないと言った。しかしある日突然電源が落ちたように暖かく無くなった。火燵は無くなったわけじゃないが暖かくない。不器用な俺は壊したく無くて、ろくに弄る事もできない。暖かくない火燵に入る俺は凍える程に寒かった。暖かかった時の記憶がさらに俺を冷やす。布団に戻ったほうがまだ暖かいかもしれない。でも俺にはこの暖かくない火燵を出る勇気が無い。またいつか直るかもしれないという思いが捨てられないから。
俺には家があり、暖かくない火燵がある。いずれ直るかも、いや捨てたほうが布団に入れるし、新しい火燵が手に入るかもしれない。しかしまだ捨てられない。まだ暖かかった時の思い出が忘れられないから。
そして今日も暖かくない火燵に入り、暖かかった記憶を思い出し、さらに凍えている。
きっと火燵は俺が寒いなんて気付いて無いのだろう。

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