もう1度･･

もう1度あなたに
会えるなら素直に
気持ちを伝えたい。

もう1度あの日々に
戻れるなら私は
何も望まない。

｢これどうしたの？｣

聞きたくないのに
聞いてしまった。

｢あー･･飲み屋の女の名刺
今そいつと付き合ってる｣

そう言う健に今まで
-よリが戻るかもしれない-
と少しでも期待してた
自分に嫌気がさした。

｢あーそうなんだ｣

それ以上何も聞かなかった。
聞けなかった･･。

考えてみたら健は
たくさん色々な事を
我慢してきたと思う。

高校を卒業して車を買い
給料だってもらえたのに
同棲したり私がいたから
みんなと同じように
遊んだりすることも
きっと我慢してたんだと思う。

私がいなかったら
きっと健も普通に友達と
飲み屋に行ったり自由に
過ごせたんだろうね。

一緒に生活してた為に
我慢させてきたんだよね。

近くに居すぎたんだよね。

気が付かなくて

ごめんなさい。

｢ならもうよりを
戻すことはないんだよね？｣

｢四年も付き合って
別れを選んだって事は
そんなに簡単な事じゃない。
だからよりは戻せない｣

健は静かにそう言った。

｢あーそうだよね
なんかごめんね。
もう健には何も求めない｣

｢でも一つ聞いていい？｣

私は健にどうしても
聞きたかった。

｢うんっ何？｣

｢しほのこと本当に
好きだった？｣

今さらだけど
それだけは聞いておきたくて。

｢当たり前ぢゃん
好きじゃなかったら
一緒に生活なんてしねーよ｣

健が笑顔で答えてくれた。

｢そっか･･
もうその言葉だけで充分だわ
ありがと｣

そう言って外を見た。

走ってる車なんて
ほとんどいない
真っ暗な見慣れた道。

もう健とこの道を
走る事はないと思った。

健はもう自分で自分の
道を歩み始めてた。

私だけが過去にとらわれ
止まったままだったんだね。

健の気持ちも知らないで
会いに行ってた自分が
恥ずかしくて情けなくて。

家について
健の横で寝る。

寝顔を見ながら
愛しくて切なくて
涙がでた。

隣にいるのに
触れることも出来ない。

何か共感出来る所がたくさんあって…
頑張って書いてくださいね