叶わない恋

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　“好き”
この想いを君に届けたい
でも､そんな事できない
今､君の隣には
あの子がいるから──
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　私は咄嗟に
目を反らした｡
心臓がドキドキいってるのが
自分でも分かる｡
“とりあえず落ち着こう”
そう思っていた時…
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さんきゅーな!」
そう言って松本は笑う｡
私の心臓は更に
ドキドキ鳴っていた｡
胸が苦しい｡
こんなの自分じゃない｡
「ふんｯ｡次からは自分で
写してよね!」
可愛くない言い方を
してしまう私｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「可愛くねーな…」
松本は私に言った｡
そんなの自分でも分かってる｡
どーせ私はあの子と違う｡
そうあの子とは…
そんな事を考えていると
ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ…
チャイムが鳴った｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松本の顔が
一瞬明るくなったのを
私は見逃さなかった｡
そう…休み時間には
いつもあの子が来る｡
松本が大好きなあの子｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「りゅーう!!」
そう松本呼んだのは
相川麗(ｱｲｶﾜﾚｲ)
松本の彼女｡
麗はちっちゃくて
可愛くて女の子っぽい｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あの二人さー､
ラブラブだよねー」
後ろを振り返った優が
私に言ってきた｡
「だねー…」
私の胸はズキズキいってた｡
「まー､彩には関係ないか｡
なんせ彩は松本嫌いだしね!」
私は前ならこう言われた時
「うん!松本のどこが
いいんだろうね!」
なんて平気で言えてた｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でも私はこの時
そうすぐに言えなかった｡
そんな私を不思議に思ったのか､
優は顔を覗きこみ
「彩ー？」
と言ってきた｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あ､ごめんごめん!
そうだよ!関係ないよ」
私は無理矢理笑って言った｡
「だよねーあははは!」
私達は笑い合っていた｡
　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　私はこの時認めたくなかった｡
ずっと嫌いだった松本を
いとも簡単に
好きになってしまうなんて｡
　　　　　　　　　　　　