｢好き｣を､もう一度｡

もう一度だけで良い。
貴方の口で、貴方の声で。
私に｢好き｣って言って？

大切な貴方に捧げる手紙です。

私の出来ない事。
それは、手紙を出すって事。

どうしても忘れてしまう。
学校の帰りは覚えてるのに。
遊びに行くと忘れてしまう。

遊びに行く前に
出せば良い話だけど、
それさえも忘れてしまう。

遊んで帰って来てもも、
ママは居なかった。
仕事が大変だから。
パパが居ないんだから。
そんなの分からなかった。

小学校低学年から、
鍵を持って登校してた。
『良いなー!!』
なんて言われたけど、
全然嬉しくなかった。

帰ったらママが居て、
一緒に買い物行って、
お菓子買って貰って…。

そんなのが羨ましかった。
鍵なんて要らないよ。
ママが居たら良いのに。

『おかえり』
って言って欲しいだけ。

鍵なんて意味無いよ。
私からしたら要らないよ。

一回、鍵を家に置いて行った。
鍵を持って行かなかったら、
ママが開けてくれるって
思ったからだと思う。

そんな訳無いのにね…。

ママが居るって思って、
ドアノブを回した。
でも、鍵は開いて無くて…。
家に入れなかった。

ドアの前に座ってた。
ママの帰りを待ってた。

何時間経っても、
ママは帰って来ない。

暫くすると、大家さんが来た。
心配して来たんだろう。

｢みゆちゃん、どうしたの？｣
｢鍵無くて入れないの｣
｢じゃあ、おばちゃん家行こっか｣
｢行かないよ。
だって、ママ帰って来るもん。｣
｢寒いからおいで？｣

大家さんは私の手を持って、
大家さん家へと連れてってくれた。

涙が出た。
よく分かんない。

鍵が無いから？
─違う。
家に入れないから？
─違う…。

ママが帰って来ないから。

　
更新しますね。

誰か見てるのかな？←

　
ママ、帰って来てよ。
みゆずっと待ってるから。
　
いっぱい遊んでよ。
いっぱい構ってよ。
一緒に買い物行きたいよ。
楽しい時間を過ごしたい。
ママと一緒に居たい。

それだけなのに。

　
その日、夜遅くまで
ママは帰って来なかった。
　
大家さんと一緒に、
家まで帰った。
帰ったら、怒られたのを覚えてる。
　

「何で鍵持って行かんのん？」
「忘れてた」
「鍵の意味ねーじゃろーが。
こっちは仕事で疲れとんじゃ。
迷惑ばぁ掛けんなや。」
　