｢幸せにしてやれなくてごめん｣

どうして謝るの？

私は十分幸せだったよ。

たったの一ケ月だったけど。　

大好きなあなたといた日々は

本当に幸せでした。

｢俊の下手さにまなイラついてるね｣

私が笑いながら言うと、

｢さやもヘタクソじゃん！笑｣

って笑われた。
次の瞬間、右手を差し出された。
｢ひっぱってってやるよ｣

惚れてまうやろー！です。
もう惚れてるけど。

私はありがとうと言うと
素直に左手を圭介の右手に重ねた。

｢さやチビだね｣

｢圭介がでかすぎなんだよ｣

お互い照れ隠しバレバレの会話。

内心は誰か写真！！！早くこの光景写真とって！！！って感じでテンションMAXでした。

私が転んだ時に圭介の胸元に飛び込んじゃったとか唇が触れ合ったとかそんな漫画チックなことは残念ながらありません…

私はすぐさま普通に滑れるようになり、運動神経の良さを初めて恨みました。

その日はサイゼでご飯食べて
普通に解散。

家に着くと圭介からのメール。

――――――――

今度は二人で遊ぼ♪

――――――――

即｢いいよ★｣送信。

幸せすぎて罰が当たるんじゃないかって位、毎日が充実して幸せでした。

メールし始めて一ケ月。

初デートは横浜にドライブ。

本当に毎日が充実してた。

私は俊と圭介達のグループと
授業を一緒に受けたり
お昼一緒に食べたり
空き時間に野球したり

正直な話、大学がこんなに
楽しいなんて思わなかった。

交友関係はどんどん
広がっていった。

逆に圭介との距離は、
どんどん縮まっていった。

そして初デートの日。

圭介と私の家はかなり遠く、
車でも一時間半はかかる。

なのにわざわざ
｢家まで迎えに行くよ｣と
いってくれた圭介。
素直に甘えることにした。

いつも通り、髪はゆる巻きで
薄ピンクのニットにスカート。

あくまでもいつも通りを装った。
気合い入れすぎって思われたくなかったから。笑

７月１０日。

今でも忘れない初デートの日。

二人の記念日になった日。

当日は30度を越える真夏日。

ワキ汗シート持って、
ワキシューも持って、
日焼け止めしっかり塗って、
香水ちょっと付けて、準備万端。

落ち着かなくて家の中をウロウロソワソワ。笑

親にうっとおしいと言われ、おとなしく玄関で座って待ち構えてた。

ピリリリリ…

携帯が鳴った。

家の前に車のエンジン音が聞こえたから、電話も出ずに外に出た。

そこには電話をかけている圭介。
｢おっ来た！おはよ｣

サングラスかけたいかつい兄ちゃんがそこにいました。

圭介はＢなんだけどコテコテじゃなくて、ストＢ？雑誌で言うとサムライみたいなお洒落なＢボーイさんだった。

まぁいかついんですよこれが。

似合っててかっこいいんですよこれが。

私はというとエビちゃん信者のCancamっ子なので世間的に言うお姉系。

こんな正反対の二人。

でも渋谷とか行くとＢとお姉のカップルって結構いたりするから不思議。

そんなこんなで私の第一声は

｢こわっっっ！！！｣

こわくねーよと頭わしょわしょされました。キュン。

車内では沈黙あったら嫌だなーって思ってたけど、意外に盛り上がった。

お互い笑いのツボが同じで、ずーっと笑ってた。

偶然なことに、音楽の趣味も似てたから私一人で勝手に運命感じちゃってた。

圭介がお薦めと言って車で流してくれた曲。

私もすぐ気に入って、二人でよく歌ってた。

あの曲は思い出の曲になった。

だから別れてからしばらくは聴けなかったな…聴いたら圭介を思い出してしまうから。