One Life

一年前の4月、あなたと別れた時、後悔しました。

たくさん泣いて、たくさん迷いました。　

でもね、偽りのない事実を話した事に今は後悔してません。

いつか母とケンカしたときに言われた。　

「あんたなんて幸せになんてなれんわ。こんな女誰が本気になる？」

ずっと胸にひっかかったまま…。　

“あんな母親”

そう思えば思う程、心は痛くて、実の母にそんな風に言われるのはやっぱり辛かったから…。　

そんな日々が過ぎ、ある日私はトモくんに告白された。　

「付き合ってほしい」

素直に嬉しい。

心の底から嬉しかった。　だけど、やっぱり迷った。　

目を見て言われたのに、私は視線を反らした。　
なのにトモくんはしっかりと私の手を握り言ってくれたんだ。　

「俺が一生守る。ナツちゃんの全てを守る。俺が一生隣にいるから」

トモくん？　
あの時の告白は本当に本当に嬉しかったんだよ？

「告白でもあり、プロポーズでもあるから」

大事な気持ちをぶつけてくれたんだよね？　

私ね、あなたの気持ちに答えたいと思った。　
恋愛なんてできないと思ってた私に、あなたは光をくれた。　

私は、トモくんの思いを受け入れた。

不安の方が大きい。　
でも、それを全て承知のうえで分かってくれた。

「ありがとう」

その言葉しか出なかった。　

もう一度信じてみようと思えた人だから…。

その日から私とトモくんは気持ちを埋め合った。　
毎日メールして電話して、会えない日が続いても、私は幸せだった…。　

汚い過去、間違ってきた私をいつも一番に考えてくれた…。　

この人となら、傷が癒えると思った。　

だけどね、“運命”なんてこんなもんなんだって思ったんだ…。

突然だった。　

深夜にかかってきた電話。　

～宮本さん～

着信画面に見える名前。　私はすぐに出た。

「落ち着いて聞いて。トモくんが事故で…」

嫌な予感はした。　
宮本さんの言ってる事が整理つかないまま、私は車を走らせた。

嘘だよね？　
てか、事故なんてたいした事ないんでしょ？　

自分で言い聞かせて、涙を押さえるのに必死だった。　

病院に着き、椅子に座る原さんを見つけた…。　

「ナツちゃん…。」

震えた声で原さんは私を見た。