める彼

高２のとき部活やクラスでの生活が思うようにいかずあたしは常にストレスが溜まっていた。

好きな人はいたが両想いになれる見込みはなかった。
「お前のこと女として見てない」とサラッと言われてしまうぐらいだった。

あたしは足りない何かを埋めるかのようにメル友掲示板やc-boxに出没しては見知らぬ誰かとメールや電話を交わしていた。

そして電話えっちなるものをしたりもした。

それをしていたのは一人の相手とだけだったが他にも数人の男の子と連絡をとっていた。

どの人とも疑似恋愛をしているようなやり取り。
結局は私生活は充たされなかった。

色んな人と連絡をとっていたのは秋ぐらいからだった。

12月に入ったころだった。

家で一人でいるのが苦手なあたしは人恋しくなってメル友掲示板で今すぐ電話してくれる人を募集した。

すると一通のメールが届いた。

「電話して」
と番号を載せてメールするとすぐに着信がきた。

「もしもし」

「もしもし」

…声めちゃくちゃかっこいい。

「名前…勇太やっけ？」

「うん。名前なに？」

「モコ」

自己紹介のあと勇太は自分の話をずっとしてた。
あまりにも喋るもんだからあたしは相づちを打つ時間しかなかった。

ただ勇太は同い年だったので何となく話も聞きやすかった。

「俺今からバイトやけん、またメールしてや」

そう言われてあたしはびっくりした。
人恋しさを紛らわすために電話したかっただけだったので勇太と連絡を取るのはこれっきりだと思っていたからだ。

でもネットで出会った人の中でこんなに気さくに話してくれる人は初めてでしかも声がかなりタイプだったので
「うんわかった」
と返事をした。

ちなみにあたしは関西、勇太は四国住みだった。