病みから闇へ…

　
｢早くグループ作ってー｣

担任の浜の声が響いた。

うちの学校は年に一度
スケート研修がある。
みんなでピクニックして
バスでスケート場に移動し
みんなでスケートをする。

体育の授業がないから
そーゆー研修で
体育の単位を一気にとる仕組で
だから休んだら一瞬で
単位は足りなくなる。
だから休めなかった。

でも誰とグループ作れば？

　
結局みんなぐだぐだで
班作りはなくなった。

｢班作りめんどくさいから
お前ら現地でてきとーに
班作って弁当食えよー｣

浜のばかやろう。

一人でもいいや。
誰もいないとこで
のんびりしよう。

休めるなら休みたいけど。

　
―研修当日―

あーほんとに嫌だ。
行きたくないっ！
でも単位は欲しい！

行くしかないよな…

１時間半かけて
学校についても
やっぱり変わらない。
あたしの存在は
そこから消されて
空気と一体化した。

浜のながい説明を聞き
ゾロゾロと外に出て
あたしは列の後ろを
テト〇スをやりながら
トボトボ歩いた。

　
みんなは公園に着いて
すぐ弁当を食べ始めた。

あたしはもう一度
集合時間などを確認した。
忘れても聞く人はいない。

さて、と
弁当たべよっかな。

　
｢ねぇねぇ、
一緒に食べない？｣

｢え………いいの？｣

京ちゃんのグループだった。

｢京ちゃんに聞いたよー
まなちゃん悪くないって｣

京ちゃん…………

すごい嬉しかった。
孤独から救われた気がした。
『一緒に食べない？』
その一言で喜んだあたしは
今まで一人だったことを
実感した。

　
決して派手ではないグループ。

｢あいつら暗くね？
ｲﾝキャラてきな？｣

あたしは昔澄香と
そんなことを言っていた。

自分が恥ずかしくなった。

こんなに優しい子達を
悪く言っていたのに
誘ってくれた。

あたしを許してくれるの？
ありがとう
ありがとう
ありがとう
今でも何回言っても
言い足りないくらいありがとう

　
そのグループは
ジャニーズ好きだった。
嵐の話、KAT-TUNの話
ジャニーズ嫌いのあたしは
話についていけなかった。

｢まなちゃん何が好き？｣

｢ジャニーズはあんまり
よく知らないんだけど
好きなジャンルは
ロックとかレゲエかな｣

ジャニーズ知らないって
ゆってもよかったかな？

｢ぽいね！
レゲエ好きそう！
ＨＹとか聞いてそう！｣

あ、よかったみたい。

｢ＨＹ結構好き～｣

｢ＨＹってどんなん？｣
違う子が言ったから
AM11:00のｻﾋﾞを歌ってみた。

｢うまっ！歌うまっ！｣

認められた気がした。
すっと楽になった。
思ってた以上に
研修は楽しくて
久々に疲れて
家に着いて速攻寝た。
次の学校が楽しみだった。

　
研修楽しかったな(^^)
今日の学校楽しみっ♪

学校に着いてみたら
いつもと変わらず
みんなシカト。

なんで？

帰りに京ちゃんに聞いてみた。

｢あたしみんなに
悪いことしたかなあ？｣

京ちゃんは気まずそうに
言いづらそうに教えてくれた。

｢まなちゃんと一緒にいて
陰口言われるのがやだって…｣

ああ、そっか。
なんだそんなことか。
しかたないよ。
一緒にいたら
陰口言われるから。

結局みんな自分が一番。

何かが吹っ切れた。