依存

ぅちの見た目はまず眠たそう。機嫌悪そう。
視力が悪くて眼鏡もかけてないから一重もいいとこ

そしてポッチャリを通りすぎた顔と体型

ボサボサの黒い髪

ひとつ言えるのはいいところがない

「ひな女の子にならな彼氏できひんで～」

毎回言われる台詞

ぅちに彼氏？ありえへんわ…

あの頃は毎日そう思ってた

男の子と遊んだことがなければワンツーマンで話したこともない

けど少しは興味もあった

だけどこんな見た目だし努力もしてないぅちがそんなん言う資格ないって思ってた

だから恋愛方面ではいっさい会話にふれなかった時期もあった

今となっては懐かしい話だけど

中学の卒業式
密かに前の夜抱いていた幼馴染みからの告白シーン

始まって終わってみれば呆気ない

なにもなければ喋ってもいなかった

それほど住む世界が違うんだ…

「ひなは女子高かぁ…女の子デビューしいやぁ？」

「ミカンは共学やろ？彼氏作れよ？」

ぅちらはまるで明日も学校に行くみたいな感じで別れた

もう通うことのない通学路

そして…

「ただいま～」

ぅちはおばあちゃん家に引っ越しする

「荷物全部運べた？」
「うん」

「体に気つけやー」

「ばいばいー」

高校が近いからといって私はおばあちゃん家に移された

まぁいいんだけど

部屋も今までの部屋に比べればかなりデカイ
口煩い母も居ない
どやかましい弟も居ない

最高のシチュエーションなのにどこか寂しい
誰も居ないシンとした部屋でぅちは眠りに着いた…

そして私はあることを決意する

-変わろう-

…と

まずは髪

と決めたら即実行

黒から茶色に

でも他になにも思い浮かばないのが現状で高校の入学式が始まっていた

ぅちは化粧もなにもしないままセーラー服に身を任せていた

周りは可愛くて綺麗な子ばかり…

ため息が出る

自分が大嫌いだ

集合写真も無愛想にレンズを見る

写真に写ったぅちは睨みをきかせてただ怖かったらしい

友達も作れないまま夏休みに入っていた

私はなれない学校生活とバイトでいつのまにか体重が減っていた

そして夏休み運命の出会いが訪れる

あの日ぅちは変わったいい意味でも悪い意味でも…

貴方はぅちを覚えていますか？

ぅちは貴方を忘れました。名前も顔も。

だけど貴方の存在は覚えています。だって貴方がぅちの始まりやから…

「久しぶり!!!」

「みかんーっ」

ぅちらは久々に会って話をした

学校とか友達とか

おもにぅちは聞いてるだけやけど…

「ぅちな～彼氏できてんっ!!!」

ミカンが嬉しそうに報告した

「よかったやん!!!」

ぅちも自分のように喜んだ

ミカンはいつのまにか綺麗になっていた

てゆうか派手になっている。とくに目が。

「ひなちゃん化粧とかしてへんの？」

いきなりジーってみられて問いただされる

「やってや」

と適当かつ冗談で言ったつもりなのに…

「いーよ」

と目の周りをグルグル書かれた

アイラインだけで

今思うと素っぴんより酷かった