貴方だけ

叶わない願いだと
分かっていても
どうしても願ってしまう

和麻の卒業式の時。

私は同級生達に呼ばれて、学校に来ていた。

先輩達に挨拶するとか何とか。

だけど、来た理由の一番は和麻だった。

最後に会いたいと思ったから。

学校に入る前に
先生達に止めれていた私達。

卒業式まで邪魔しないって。
とか思ってた。

ただ、和麻に会いたいだけだった。

正直、先輩達とかどうでもよかった。
何も感謝してない。
そんなに話した事も無かったし。

結局、中に入れなかった私。
外で座っていると、
花束を持った和麻が出てきた。

たくさん人がいる中で
和麻を見つけるのは
簡単だった。

カウンセリングの教室意外では
会った事が無かったから
やけにドキドキしていた。

和麻が私を見つけて、
走って来てくれた事は
今でも覚えてる。

こんな私の側に
来てくれる彼は
どれだけ注目されたか。

こんな私の側に
来てくれる彼が
どれだけ優しいのか。

胸が苦しくなった。

『恥ずかしくない？』
聞きたかった。

私と知り合いだなんて思われて
恥ずかしく無かったのか。

そんな事、
和麻は気にする人じゃないと
分かっているけど。

和麻と私は近くの公園に行き、
２人で話していた。

｢好き、付き合って。｣

和麻が顔を赤くしているとこが
ずっと忘れられない。

私は、自分とは
逆の人と付き合った。

和麻と付き合って
全てが変わった。

夜、家から出て行く事も無くて
学校もちゃんと行って。

私はまた『普通』
に戻った。

友達は相変わらず居なかったけど。
それでも、和麻が居れば良かった。

高校に入った和麻と会える日は
少なかったけど。

それでも楽しかった。

お互いがお互いを
『好き』だと言う事。

和麻は私を癒してくれた。
こんな私を好きだと言ってくれた。

私も和麻が大好きになっていた。

和麻の家でゴロゴロしたり。
たまに出掛けたり。

本当に毎日が楽しかった。

｢美咲と俺って似てる。｣
和麻がよく言う言葉。

その言葉が大好きだった。