しょうなんのかぜ？

隣の小学校が閉校し、私の小学校に吸収された。

新しく出来た友だちの中に男の子は１人。

クラスメートが２８人になった。

私は気がつけば電車に乗って地元に向かっていた。電話を切ってからマンションを出て、どんな気持ちで駅に向かったのか。切符を買うとき、いつもは地元に帰る嬉しさでいっぱいなのに、あの日はどうだったのか。覚えていない。

窓から景色をボーっと見ていた。泣いてたと思う。りょうたとの思い出が次々と浮かんでくる。

死んだなんて嘘だ。だけど嘘とは思えない。だけど嘘だと思いたい。あのりょうたが死んだなんて…。嘘でしょ…。その繰り返しだった。心臓がバクバクしていた。

午前９時半、地元の栄えてる市街地に着く。

母さんが待っていてくれた。

母さん『久しぶり…。』

泣きながらの『久しぶり』だった。

更新楽しみにしてます

母さんに事故のことを少し聞いた。大事故で、山道のような国道だけど通勤ラッシュを２時間も止めた。トラックと正面衝突でたぶん即死じゃないかと…。

２人で泣いた。泣き続けた。

私はとにかく同級生と連絡を取り合って事故についての詳しい情報を調べた。

だけどそのときのそんな情報はちっぽけで、あとから見えてくる真実に苦しむ。

全員じゃないけどいつのまにかドロドロの関係になっていた友だち。

事故があってから６時間後。
りょうたが死んだ６時間後。

いまいる駅から実家に行くにはどうしても事故現場を通らなくてはいけない。(迂回道路がないから)

後ろに車がついてなかったので、母さんは速度を落として車を走らせてくれた。

母さん『タイヤのあとがあるでしょ…。あと全体的に赤茶色なのはたぶんりょうたの血でもあると思う…。』

私『…。』

６時間前ここでりょうたが事故った。６時間前までは生きてた。これからは何時間たっても何日たってももうりょうたには会えない。死んだんだ。ここがりょうたの最後の場所。

保育園のときから中学卒業まで１２年間バスで通った道。
私にとって毎日生活にかかせない道。
こんな道でなんでりょうたが死んだ？

実家に戻ってからはただ時間だけが過ぎていった。７時間前は生きてた。１０時間前、１２時間前…。

次の日、母さんは透析に通っている爺ちゃんの送迎をした。迎えに私もついて行った。

病院につくと、爺ちゃんは透析を終えてお昼ご飯を食べてた。爺ちゃんはりょうたと家が近いからよく可愛がったりしていた。

爺ちゃん『俺がかわってやりたかったよ』