求め続けた満足感。

友達にも家族にも彼氏にも言えない私の過去。

私はただ満たされたかった。
お金、男、友達･･･。
とにかく満たされたかった。

だけど、
いつからかある人を満たしてあげたいと思うようになった。

きっと本当に愛せた人だったんだ。

２人でベッドに入る。

そういえば、
私も久しぶりだ。

最後にしたのは店長と･･･

また店長を思い出した。
思い出したくないのに、鮮明に蘇る店長の温もり。

アキラと体をくっつけてると、人の温もりを感じて安心した。

なんだか、
援をしてるって実感がなかった。
まるで恋人とするかのように、アキラと自然に体を重ねた。

もしかしたら私は寂しかったのかもしれない･･･。

欲しかったのは、
『お金』
だけじゃなかったのかもしれない。
『愛』
も欲しかったのかもしれない。

行為が終わり、
アキラはベッドでタバコを吸っていた。

SHIHO「ねぇ、
１本ちょうだい。」

アキラ「タバコ吸うんだ？」

SHIHO「普段は吸ってないよ。でも今は吸いたい気分だから。」

何度か吸っていたタバコを、久しぶりに吸いたくなったのはなぜなんだろう。

アキラ「SHIHOはなんで援なんかしてんの？」

SHIHO「･･･学費だよ。」

アキラ「まじで？」

アキラにも嘘をついた。
『遊ぶためのお金』
とは、なぜか言えなかった。

『お金』
と同時に
『同情』
が欲しくなった。

アキラ「俺以外にも、相手いるの･･･？」

SHIHO「いないよ。」

タカとはまだ会ってないし、これはまだ嘘じゃないよね。

アキラは自分だけだと聞くと嬉しそうな表情をした。

この人は見た目と違って、
すごく純粋なのかもしれない。

ホテルのチェックアウトまで、色んな話をした。

アキラの仕事。
アキラの恋愛。
アキラの好きな食べ物。･･･

私のことはほとんど話さなかった。
別に話したいと思わなかったから。

チェックアウトの時間が近づき、お互い着替えを始めた。

アキラ「また会える？」

SHIHO「うん！」

会ってもらわなきゃ困る。
夏が近いから。

アキラは、
財布から私に今日の給料を渡してきた。

今日は本番だったから２万円。とりあえず使わずに置いておこう。
夏休みのため。

アキラとバイバイして、
まっすぐ家に帰った。

――バイト――

アキラとは順調に本番までの援を終え、私は慣れてきていた。
今日はバイト。
援をしてから、尚更この時給がバカらしくなる。

しかも、
前より入れる日数が少ない。
だから余計に給料が少ない。

でも楽しいんだ、ここ。

それに紹介してもらったから、すぐには辞めれない。

だけど、私にはもう一つバイトがある。
だから生活はやっていける。

今月はタカにも会える。

順調にタカに会えれば、
お金が必要な夏休みに間に合いそう。

人には言えないバイト。
犠牲は体だけ。
ううん、
この時は犠牲とも思ってなかった。

裸になれば簡単にお金が手に入る。最高のバイトだって思ってた。

バイト先で、私の歓迎会をしてもらうことになった。

みんな優しい、
心暖まる店。
本当に居心地は良かった。

『カンパーイ！！』

シフトに入ってない人もみんな来てくれて、にぎやかな飲み会になった。