心に、鍵。

私がキャバクラに勤めて３年経った頃思わぬ出逢いをした。

まさか、好きになるなんて思ってもなかった‥

ただのお客のはずだったあの人に‥

｢未来ちゃん、４番の奥、場内ね！｣

ボーイの直也が言った。

ちょっと嫌だったけど、仕方なく席に向かった。

｢失礼します。
未来です！よろしくネ｣

若ノリで話し掛けたのに
返って来た言葉は
｢うん｣のみだった。

それからも、何を話し掛けても"うん"しか返って来ない会話を
１時間、なんとか繋いだ。

時間になりボーイが来た。

帰ると思って、あえて延長の交渉はしなかった。

何か、絡みづらいし合わないな。ってのが彼の第一印象。

その日は、ワンセットで帰って行った。
名刺を渡したが連絡が来ることは、まずナイと思っていた。

私も気にせずその日の仕事を終えて、寄り道せずに帰宅。

寝ようかな、と思って布団に入ったら知らないアドレスからのメールを受信した。

今日、新規のお客に着いたのは一組で場内をもらった席だった為メールの相手は直ぐに分かった。

何故だかワクワクした気持ちでメールを開いてみる。

｢りょうだよ！今日は、いきなりごめんね。楽しかったよ！
また明日も遊び行くね！｣

第一印象からは、打って変わってのメールの内容に驚いた。

｢こちらこそありがとう!
何か、上手く喋れなくてごめん。
また明日楽しみにしてます!｣

と返信して、その日は寝た。

りょうは、それから１ヶ月間
毎日の様に店に来た。

お店に居るとりょうは、私とあまり話してくれない。

友達とばかり話して居て半分以上が放置。

次第に、何で指名するんだろう？と疑問を抱く様になった。

メールや電話だと優しいりょう。

ギャップが激し過ぎて、何故か私の中で気になる存在。

｢ねぇ、りょう？
りょうってさ彼女居るの？｣

｢居ない｣

｢てか、何で会うとそんな冷たいの？嫌なら指名しなくていいよ。｣

｢うん｣

この時、私はいけないｺﾄを言ってしまった気がして罪悪感を感じた。

その日の朝方。
りょうからメールが入った。

｢俺、お前のｺﾄ好きなんだ
会うと照れて目も見れなくて
上手く話も出来ないんだよ、
キャバ嬢だから、扱いずらいや!笑｣

素直に嬉しかった。

普段だったら、金になる。としか思わないのにりょうは違った。

毎日、お店でりょうに会うのは日課になっていて1日会わないだけで不安になってしまう。

それからも、りょうは好きだと言ってくれる。

でも、りょうが好きなのは
キャバ嬢未来。

本当の私なんか‥
絶対嫌われる