空の向こう

みゅーちゃん。

知ってる?

空の向こうにはね、

パパがいるんだよ。

そしてゆうくんがいない時、
私何度も泣いてた。

ゆうくんには
心配を掛けたくなくて、
隠れて１人で泣いた。
不安で心が
押し潰されそうになった。

そんな私の不安を
拭ってくれたのは、

貴方だったね、ゆうくん。

ゆうくんは
いつの間にか気付いてた。
私が泣いていたこと。

凄いよね、ゆうくん。
どんなに隠しても、
全てお見通しなんだもん。

泣いてる私にさ、

「お願いだから、
１人で泣かないでよ。
不安ならその不安
全部俺に言って?
あおいを安心させるから。
お願いだから、
１人で抱え込むの止めて。

心配すんだろ馬鹿。」

って。

なおさら涙出たよ。

ゆうくんの体温が
凄く心地よくて、
ゆうくんの肩に手が温かくて。

何もかもが温かいゆうくんに
酷く安心した。

私はゆうくんに
「ごめん、ごめんね。
ありがとう。もう大丈夫。
私頑張るよ、」
と笑ってみせた。

その時のゆうくんの表情が
どこか少し、辛そうで。
どうして１人で
抱え込んだりしたんだろ、って
……後悔した。

ねぇ、ゆうくん。

私ね、あの時初めて
ゆうくんのあんな表情見たよ。

いつも明るくてさ、
笑顔を絶さないゆうくんが
私の前で初めて
辛そうな顔をした。

だから凄く
胸が締め付けられた。

だから尚更
ゆうくんに
心配を掛けないように、
赤ちゃんを
幸せに出来るように、
強いお母さんになろうって
思ったんだ。

そう決意して何日か経ち、

10月22日。

沢山の人に、
ゆうくんに支えられながら

私はお母さんになった。

長い、長い時間だった。

何度も気を失いそうになった。
目の前が真っ白になった。
堪えきれない声が出た。

だけどね、初めて
赤ちゃんと会えた時、
それまでの痛みも苦しみも
全て忘れられるくらい、
嬉しくて堪らなかった。