ｰ恋愛価値ｰ

どれだけ泣いたのかな｡
頭がﾎﾞｰｯとする｡
もう何回人を好きになって､もう何回の涙を流したのだろう｡その恋愛の中で本気ってよべる恋はあったのかな｡

初めての彼氏…貴重な存在､忘れられない記憶の人物｡
でも私は違う｡初めての彼氏など一部にすぎない｡大勢の中の一人｡その程度でしかないと思うのは彼の事は本気じゃないから｡
中学生時代に好きな人はいた｡でも中学生の好きとはどんなものだったのだろう｡

会いたくて毎日学校に行った｡
席替えで隣の席になりますようにと密かに願った。
目が合って嬉しい｡
いつ貸してもいいようにノートは綺麗に書いた｡
ささやかな事が幸せだった｡

今は？
もう泣き疲れた｡まただ…またダメだった｡

｢おっはよぉ｣
｢…おはよ｣
どんなに泣いても辛くても仕事に行かなくちゃ｡自分が強くならなきゃいけないから｡
｢うわっ､ゆう目どぉしたの？｣
｢別れた｣
｢え!としきくんと？｣
｢…うん｣
｢そっかぁ…辛かったね｣
ありさは何も聞かずにそっと隣に座っていた｡いつもだ｡いつも静かに傍にいてくれた｡

やる気も出ないまま仕事をして与えられたら事をただこなす｡
今日はやけに時間がすぎるのが遅い｡何度も時計を見てはため息をつく｡何も考えたくないのに時間がたつにつれ思い出して行く｡
定時になり終わり帰る｡

｢ねぇ…ゆうの初めての彼氏ってどんな人？｣

急にありさが聞いてきた｡
初めての彼氏…高校一年の時だ｡名前はよしひさ｡同い年で別々の高校に通っていた不良｡