私の愛が伝わらない

「別れよう｡」

『えっ…？』

それは高校２年の夏。
１年付き合った彼氏からの突然の別れ。

『な､なんで？』

「好きな人できた。
てかまずお前重いし」

次の日。

『みゆき～。ひろきに振られた。』

「まじて。ちょーウケる」

友達のみゆきはいつもこんな感じ。

適当と言うかすべてにおいて興味がないと言うか。

『なぐさめるとかないの？笑』

「ないね。そんな男と付き合ったあんたが悪い」

ひろきは浮気してた。
他のクラスのバレー部のキャプテン。

『まあねー。でも無駄な時間だとは思ってもないし、恨んでもない。引きずる気もないし。いい授業料として心にしまっとくよ』

「えりなのそういうサッパリしたとこがうちは気に入ってるよ。ネチネチした女ならダルくてツルまない。」

私、えりなも自覚はないが、かなりサバサバした性格らしい。

そんな気が合うみゆきとえりなはもう７年もの付き合いだ。

「えりな、帰ろっか。」

『もう放課後かぁ。体育以外は寝て過ごすから１日一瞬だわ。』

「me too.」

そんな冷めた会話をしながらえりなとみゆきは帰宅する。

『あ～遊ぶお金もないよ。バイトクビになったしさ』

「あぁ｡ファミレスだったっけ？愛想悪いからクビとか(笑)」

『好きでもない人間に笑顔なんてできないし』

えりなは好きな人間以外には感情を出さない。

そんなミステリアスなところが以外にウケてモテてはいた。

「あんたは接客は向いてないんだよ。てかマジ女？髪の毛もバリバリショート。化粧はしないわ、制服以外はスカートはかないわ。そりゃふられるわ(笑)」

『うるせぇ』

他愛もない会話をしながら家路につく。

『また明日。』

「明日学校休みだよバーカ。」

『…ッ。』

相変わらず愛想なくみゆきは帰って行く。

バタン…。

『ただいま～』

「…おかえり。」

こちらもまた冷めた母。
家事洗濯料理は完璧だかやはりどこなく人情味がない。

『母さん、ひろきにふられたよ。』

「まじで。ちょーウケる」

タバコをふかし鼻で笑う母。

(揃いも揃って…怒)

えりなは部屋へ行く。

ひろきとの思い出の品ばかり。
海へ行った時の写真。
誕生日プレゼントの指輪。
アルバム。

えりなはそれをゴミ袋にぶつける。

『もう必要ない』

無表情で作業する。

すべてが終わりベッドに倒れ込む。

(意外とへこんでないな私。涙も出ない)

起き上がりタバコに火をつける。

元カレの影響でタバコを吸い始めて１年

元カレと同じタバコ。

『…変えよ。』

えりなはお金を持ち外に出た。

薄暗くなった中ジャージでタバコ屋へと向かう。

途中、愛用していたセブンスターをゴミ箱に捨てた。

『依存はしないよ』

ポツンと呟く。

「いらっしゃい」

ぽっちゃりｼﾜｼﾜのいつものおばあちゃん。

「セブンスターかい？」

『ううん。ちょっと気分転換にね。えーっと…。』

悩んだあげく、鮮やかな緑が輝くKOOL。

『クール』

「まいど。若いんだから吸いすぎ注意だよ」

『そうだね』

そっけなく家路につく。