本気にならない約束。

本気にならん約束した。
わざわざそんな

【約束】

なんかせんでも、
元々本気になんか
なるわけなかった。

どっからが【本気】なん？

ここから
【本気ゾーンです】
ってゆうﾗｲﾝみたいなんが見えたら良かったんかな？

みんなで飲みに行って、
その王子様にオヤジさんの事を聞いてみて、初めて病気のことを知った。

私たちはものすごくショックを受けた。
でも、オヤジさんは元気やって聞いてホッとした。

店長じゃなくなっても、
私らにとってオヤジさんはずっとオヤジさんやもん。

新しく店長になった王子様は、オヤジさんの甥っ子さんやった。後継ぎは甥っ子さんって決めてたみたい。

オヤジさんよりはるかに若いし、イケメンな新･店長を、私たちも他の常連さんもすぐに受け入れることができた。

「店長めっちゃかっこいいなぁ♪♪」

みんな同意見やった。
私たちの中で店長はほんまにキムタクみたいやった(笑)

色気づいて、店長目当てで店に通った。
とは言っても、
仕事や勉学やバイトでメンバーが全員集まれることはやっぱり減って、月に１回くらいのペースになった。

夏服では寒くなってきた１０月初め頃、
恒例の飲み会をしてた時。

この日は久しぶりにオヤジさんが店に顔を出してくれた。
病気したせいか、仕事から離れたせいか、ふっくらしてたオヤジさんはちょっと小さくなって見えた。

直接病気の話題には誰一人触れず、世間話をしてた。

オヤジ「どないや～俺の後継ぎはっ？」

さくら「めっちゃ最高！オヤジさんよか全然いいわ(笑)」

オヤジ「失礼な奴やのぉ(笑)」

さくらとは幼稚園からずっと一緒で一番付き合いが古い。
明るくてノリが良くて人情深い私の親友。

オヤジ「良かったのぉ～人気者で！タケ！」

ここで初めて知った王子様の名前。
オヤジさんはタケと呼んでたけど、本当はタケシさん。
偶然にも当時の私の名前と同じだった。(笑)

歩実「店長ってタケってゆうんですか？」

店長「あ、タケシやけどね。なんでなんすか？」

歩実「タケシって彼氏と一緒の名前やねん♪」

店長「まぁタケシなんか虫の数ぐらいおりますからねぇ！(笑)」

この発言に私たちは爆笑した。また一歩お近づきになったような気がした記念すべき日やった。

ワイワイ騒いで、
会計してみんなで店を出る時、私の視線はまっすぐ店長を見てた。

店長の雰囲気がほんまに素敵で、一言で言うとほんまに憧れやった。
かっこいい先輩に一目惚れした中学生みたいな。

また来よう。
また店長に会いに来よう。
その気持ちはだんだん膨らんでいった。

～～進展～～

それから何人かで二回くらい店に通ったけど、
タケ店長とは少し世間話を交わす程度で、
まだまだ私はお客様止まり。

もうこの時から、
タケ店長と
『なんか進展』
あったらいいなって密かに願望持ってた。

気付いたら、
クリスマスが近付いてた。

クリスマスの一週間前、
私は彼氏のタケシと喧嘩になってた。
喧嘩の原因は、しょーもない。クリスマスプレゼントについて。(笑)
彼氏のタケシが金欠で、
今年はプレゼントないねんって言われたことに私が激怒したからやった。

その愚痴を、
店でさくらを含め友達に話してた時やった。

店長「どうしたんすか？
めっちゃ怒ってますね？」

飲み物のおかわりを運んできた店長が話しかけてきた。

話しかけてくれたことがめっちゃ嬉しいはずやのに、
酔ってたのと、怒りとで、
ベラベラ店長にも愚痴った。

店長はさすが大人やから、
黙って
うんうん。
とただ私の話を聞いてくれた。

でも、
私が彼氏とのクリスマスの話なんかしてしまったせいで、
最悪な言葉を聞いてしまった。

店長「僕も今年は何もあげれないっすよ～。」

えっ！？

歩実「えっ？」

えっ？とか聞いてしまった。

店長「僕も今年は彼女に何もあげれないっすよ。忙しくて暇がないんで。」

店長には彼女がおった。

私はそれ以上聞きたくないのに、無理にテンションを維持して彼女がどんな人なんかとか尋ねてしまった。

彼女は年上。
付き合って二年。