あの頃‥

忘れられないんじゃない‥

忘れたくないんだ‥

彼を愛したあの２年半を‥‥消したくないんだ‥

なかったことにしたくないんだ‥

―2003年秋―

『別れよう。』

それはあまりにも突然の出来事で,授業中ということもあり,私は泣くことも出来ず,ただただ携帯のメール『別れよう。』に目を疑った。

当時お付き合いしていたヒロからその日一本のメールで私はフラれた。

私は女子校で看護の勉強をしていて,ヒロは近くの共学の高校に通っていた。

私は勉強もついて行けておらず,学校へは放課後ヒロに会うために行っていたようなもので‥その日から私は学校へ行かなくなった。

そんな時,リョウと出会った。

リョウ―
この人が,私の忘れられない‥忘れたくない人となる。

ヒロにフラれたあの日から,学校へは行かず,学校へ行くフリをしてフラフラと街を歩いていた。

そんなある日。

街を何台かの単車が走っていた。

楽しそう―

ジーッと眺めていると,一台の単車が私の目の前に止まった。

単車男『こんちは!!俺リョウタ!!!名前は～??』

私『カナミ。』

リ『珍しい名前～!!学校は～??』

私『う～ん,サボリって感じかな～あはは。』

リ『乗ってく??』

私『わ～い乗る!!』

リ『ちゃんと捕まっとけよッ!!』

―数分後

カ『ありがと～!!楽しかった!!』

リ『おうッ!!ってか彼氏は～??』

カ『最近フラれた～(笑)』

リ『マジで??ってかさぁ,これアド!!メールして!!』

カ『えっ‥』

リ『じゃっ!!』

リョウは仲間の群れに去っていった。

ぶっちゃけタイプだった。

白い肌に整った顔立ち。
金髪にツイストはどうかと思ったが‥雰囲気が何となく‥陰がある感じで‥とにかく気になった。

翌朝―

私は教えてもらったメルアドに,メールを送った。

『カナミだよ昨日はありがとね』

何通かメールをした後,メールが返って来なくなった。

まっこんなもんだよな‥

そんなこんなで私はまた学校へ行ったり行かなかったり‥とにかく毎日が憂鬱で仕方なかった。

両親と話し合った結果,私は３年生から通信制高校へ編入しようと決めた。

看護師にはなりたかったが担任の体罰,色々もう耐えきれなかった。

今思えば未熟だったと思う。

それからの私は,学校へは行かず,家で過ごしたり地元の友達と遊んで過ごした。

―２ヶ月後―

一通のメールが届いた。

『リョウタばい!!分かる??』

リョウからだった。
リョウいわく,２ヶ月間鑑別に入ってて,メールが出来なかったとのこと。

リョウとはその日から毎日のようにメールや電話をし出した。

それで分かったことは,リョウの名前は「川上亮太」で,歳は私とタメ。働いていたけど,捕まって無職に。住んでる場所は,私の家から２時間もかかる場所で,大切な単車も売り,今は足もないとのこと。

リョウのこと‥あんなに好きになるなんて‥愛すことになるなんて‥この時は想像もしてなかったよ‥