バカ女

「どういうつもり？寛貴と喧嘩になっちゃったじゃん」

「アイツゆずの携帯勝手にいじって俺の事拒否したろ？まじタチわりーな」

「尚人が寛貴のこと挑発するからでしょ！？なにがしたいの？！」

冷静に話そうとしたけど無理だった。せっかく尚人を忘れて彼氏ができたのに振り回されなきゃなんないの？

「ゆずが好きだから。」

私の言葉を遮って、尚人が言った。

「・・・なに言ってんの今更」

「勝手なのはわかってる。でも前付き合ってた時よりおまえが好き」

ほんとに馬鹿。
もう遅いよ。
私には寛貴がいるもん。

「ばかじゃないの」

それしか言えなかった。

そのまま電話を切って私はベッドの中でめちゃくちゃ泣いた。

寛貴からの着信にも尚人からの着信にも出なかった。

何も考えたくなくて、沙耶に電話したら今から家においでと言ってくれたから沙耶の家に行くことにした。

車で一時間、沙耶の一人暮らしのマンションについた。

運転してる間に大分落ち着いたけど、沙耶は朝まで話を聞いてくれた。ありがと沙耶。今でも大切な友達です。

「とりあえず寛貴くんには連絡入れてあげな？彼氏なんだからさ」

「うん。。」

寛貴にはさっきはごめん、好きなのは寛貴だけだよみたいな感じのメールを送った。

尚人からは着信があったけど出ない。

私は寛貴が好き。寛貴とこれからも付き合ってく。尚人は友達。

これでいいんだよね。

「尚人くんの気持ちも分からなくないよ。嫌いで別れたわけじゃないんだし。まぁ向こうから振っといて勝手すぎるとは思うけどね」　

「うん。。もう尚人に振り回されるの疲れた」

そのまま二人でいろんな話をしながら寝た。

いろんな事がありすぎて頭ごちゃごちゃで、あの時のあたしはまた頭空っぽバカ女だった。

それから夏休みは沙耶とあかりと海行ったりバーベキューしたりクラブはしごしたりして遊びまくってた。

寛貴ともなんとか仲直りして順調だった。

バイトもたくさんしてたから２ヶ月で３０万近く稼いだ。

学生で３０万はでかい。

２０万は貯金して、残りは服買ったり胸まであった髪をばっさり切ってイメチェンしたり気付いたら３日で１０万消えた。自分が恐ろしかったわｗ

尚人から一日一回は着信があったけど一回も出ることなく夏休みは終わった。

そして後期。
尚人との授業は終わったからまた新しく時間割を組む。

食堂で沙耶と時間割を組んでいると謙介から着信。

学校終わったら買い物付き合ってほしいらしく遊ぶ約束をした。

「ゆずは謙介くんと仲いいね～寛貴くん焼かない？

沙耶がにやけながら聞いてくる。

「私の男友達には焼かないんだよね～唯一焼くのは尚人だけ」

「あ、尚人くんだ」

「えっどこ？！！」

沙耶が指差す方を見ると、２ヶ月ぶりに見る尚人が謙介と楽しそうに話してた。

「髪切ったんだ・・肌焼けたね。」
私がつぶやくと、

「え？どこが変わったの？てかやっぱ好きなんだね尚人くんのこと」
「違っ「普通好きじゃなかったら変化とか気付かないんじゃない？」

沙耶に言われてドキッとした。

「そりゃあんだけ好きになった人なんだし気付くよ、変化ぐらい。」

「ゆずも早く素直になりな。」

沙耶に言われて言葉を返せなかった。

確かに尚人からの告白は嬉しかった。でも私には寛貴がいる。尚人は友達なんだって言い聞かせてた。

どうしよう。

自分の気持ちが完璧に尚人に向きはじめていた。

気持ちが不安定のまま授業が終わり、謙介と合流して渋谷まで行くことにした。

「ゆず髪切ったんだ！可愛い」

「・・はあああ？！！何いきなりどーしたの？！！」　

普段謙介はそんな事言わないからかなりびっくりした。

「・・・って尚人が言ってたよｗ」

「お前事故れよマジで」

「嬉しいくせに♪まぁ今日も話聞いてやるから暗い顔すんな」

そう言ってメットを付けてくれた。

涙目になってしまったのを隠すように俯いてありがとうと言った。

ほんと謙介良い奴。