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#1 [◆3pEg2dVo4A] 10/03/20 10:40
別に凄まじい経験だとは思っていない。よくある、そこらにゴロゴロ転がっている話だと思っている。

人は言う。

「すげー人生っすね」

「経験豊富ですね」

「よく立ち直れましたね」

「プラス思考ですね」

表面から見ればそうかも知れない。でも自分のやってきた事は決して格好良くはない。

ずるく、汚く、醜く、、、生きた。

でも生き抜いた。

俺の人生と言うゲームは1/3を過ぎた。

残されたゲームは2/3。最後の1/3を静かに暮らす為にまだ俺は戦っている。

「篠塚守」に生まれて2○年。

貴方達の目で見て欲しい。

汚く、醜く這い蹲り生きた男の生き様を。

#2 [◆3pEg2dVo4A]
ごく普通の家庭で生まれた。つまらないごく平凡な家庭。祖父母がそこそこ力のある人だったから記憶がある頃には広い庭付きの家があった。

ごく平凡な普通の子供。スパルタ教育だったから勉強だけは出来た。後、口は達者だった。

小さい頃から口が立つと当然のように苛められる。幼少期は毎日泣いて帰っては母に尻拭いしてもらっていた記憶しかない。

「マザコン」「泣き虫」「小便小僧」そう呼ばれていた記憶がある。人より臆病で、泣き虫で、普通の少年。

俺はそんな男だった。

⏰:10/03/20 10:51 📱:PC 🆔:GEmHdyfg


#3 [◆3pEg2dVo4A]
母親は何も知らない世間知らずだった。

「籠の中の鳥」と言う言葉がぴったりの人で祖父母に押さえ込まれて生きてきた人だった。だから勿論孫の俺も祖父母の押さえつけで育てられた。

いい大学に出て、将来は医者や弁護士。俺の人生は幼少期の時点で勝手に決め付けられていた。勿論、母子共にそれが当然だと思っていた。

父は婿養子。当然母方の祖父母には何も言えない。人より少し裕福で、少しキチガイ祖父母。それ以外は何も問題の無い家庭。

苛められっ子なだけで10歳までは何の変化もなく過ぎて行く

⏰:10/03/20 10:58 📱:PC 🆔:GEmHdyfg


#4 [◆3pEg2dVo4A]
平凡な家庭に、よくある事件が起きる。

「父の浮気」ほんとよくある話。そしてよくあるお決まりの離婚。10歳じゃうろ覚えだけどいちいちキチガイ祖父母が出張っていた記憶がある。ギャーギャー喚いて父も母も正座して聞いているだけ。今思えばかなり笑える光景だ。

当人同士は大して話してもいない。

最後に父が

「お前は強くなれ。俺みたいにはなるな」

と言って飴を渡してくれた。出張ばかりでろくに顔も合わせなかった親子だったけど

「パパ、いっぱい白髪が増えたね」

「そうか?じゃあな」

最後にこんな会話を交わした。ボロボロの軽ワゴンに乗って最後に手を振って消えた父はすごく幸せそうな顔をしていた。

(ああ、これでよかったんだねパパ)

ここから地獄が幕が開くなんて俺にはわかるはずもなかった。

⏰:10/03/20 11:08 📱:PC 🆔:GEmHdyfg


#5 [◆3pEg2dVo4A]
父のいない家・・・。はっきり言っていつもと一緒である。なんの変哲も無いまま日は過ぎる。

世間知らずの母。母は押えつけられるがまま母親として生きていた。父を愛してなかったかもしれない。でも母は母をこの時は全うしていた。自慢の母だった。

「お前のかあちゃんめっちゃ怖いわ」

俺を苛めていた奴もそう言って苛めを止めた。

⏰:10/03/20 11:12 📱:PC 🆔:GEmHdyfg


#6 [◆3pEg2dVo4A]
母が崩壊するのは父が出て行ってそう時間はかからなかった。

鍵っ子。俺には無縁だった。いつも帰れば母が居て、飯食って、寝て。その繰り返し。

いつの日か鍵を渡されるようになった。ちょっとした憧れ。黄色の太めの紐を首から下げる。自慢げに友達に見せた。






母が




消えた

⏰:10/03/20 11:15 📱:PC 🆔:GEmHdyfg


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