彼女と子供

「妊娠したの。
・・・別れて」

突然、彼女に言われました。

自分からいくほうじゃなかったけど、話し掛けずにはいられなかった。

「彼氏いるんで」
連絡先を教えることも拒まれた。

それでも、リサに必死で頼み、連絡先を聞き、俺とリサは友達になった。

リサの性格は、明るくて、人当たりが良い女の子だ。

メールのやりとり、電話をする度、俺はリサに惹かれたけれど、同時にリサに「好きな人」がいることを知ることになった。

「好きな人」とは、離れていて会えないと、寂しそうに話をしてくれた。

いつか、俺を好きになってくれたら、と・・・淡い期待はあったけれど、リサは「好きな人」を、常に思っていた。

成人式で、一緒に行った友達がリサの友達とスノボーに行くから、リサと一緒に行かないかと、誘われた。

リサの休みに合わせる形で一泊二日、かなり忙しかったけれど、行くことになった。

二週間ぶりに会う、リサは相変わらず可愛くて、目を奪われた。

「発表があります」

友達のｺｳｷが、いきなり話だした。

「俺、ｱｶﾘちゃんと付き合うことにしました」

リサの友達、ｱｶﾘちゃんは顔を真っ赤にしていた。

ｺｳｷは良い奴だ。

ただ、女にルーズ。

「大丈夫かよ？」

俺の質問に、ｺｳｷは自分の携帯を俺に渡した。

「メモリー見てみろよ」

言われるまま、メモリーを検索した。

「なんだ？」

「俺の気持ち」

「え？」
ｱｶﾘちゃんも覗き込む。

ｱｶﾘちゃんが涙目になりながら、ｺｳｷに笑顔を見せた。

「メモリー、10件って、今どき珍しいな」

「まぁな」

照れくさそうに笑ったｺｳｷ。

今まで、手当たり次第入れていた女の子の名前が全部消えていた。