>Re:2 またすぐ逢えるから

　
この話は
私､志穂(２２歳･仮名)の
当時高校２年生(１６歳)～
１９歳の冬までの
恋愛の話です。
全て実話です。

今は結婚して
子供が２人いる身です。

　
ちょっとずつお互いの気持ちにすれ違いが生じはじめた。
でも逢えば彼も私を好きだと言ってくれて、あんまり逢えなくてごめんねって言ってくれた。あの頃の私は分かってなかった。日々の仕事の大変さや、休日の大事さなんかを。
高校生が社会人と付き合うって､思ってたより大変だった。

デート帰りの別れ際、
私は帰るのを渋るようになった。もうちょっと側にいたいって。彼はそんな私を無理矢理帰らせる事はなく、結局また彼の家に行くか、私が納得して帰るかだった。
あの頃はいつも彼が言ってくれた。

｢そんな悲しい顔せんでも
またすぐ逢えるよ｣

って。

けどそれもあの日が最後だった。私に向けてくれる言葉も笑顔も全て。

　
また逢えない日々が続いて
クリスマス間近になったある日、彼からのメールがなかなか来なかった。
仕事夜勤なのかな？
どうしたんだろう？
そう思っていたら彼からのメール。

>>このまま志穂と付き合ってても、志穂を幸せに出来そうにない。別れよう。

頭の中が真っ白だった……

　
理由を聞いても、

｢志穂を嫌いなんじゃない。｣

と言うだけだった。

別れを告げられてからも
メールのやり取りはしていたけど、彼の気持ちは変わらなかった。
あの彼がここまで言うんなら、もう本当に終わりなんだって、分かった、別れよう。とメールを返して彼のアドレスを拒否した。

　
たくさんの思い出が全て辛かった。
別れた時には、思い出が美化されて辛かった。

私は彼に
依存していたと思う。
高校３年になって、進路は就職しようと決めていて、彼の住む町にあるデニム会社に内定していた。
別れた今ではそれが辛かった。

　
彼と逢う日は嬉しくて嬉しくて、逢えなかった日々の出来事を一気に話す私に、彼はよく笑って言った。

｢そんな一気に話さなくても、隣におるよ｣

って。
じゃあ今は？
話したい事がたくさんあるのに、彼は側にいてくれない…。その現実が本当に信じられなくて悲しかった。

　
彼が交通事故に遭ったと聞いたのは、別れてからしばらくしてだった。
私に別れを告げる何日か前の夜勤明け、帰宅途中に事故を起こし車は廃車。自分も怪我をしたらしい。それを隠して別れを告げた。
大好きだった車。
廃車になったことで自暴自棄になっていたらしい。
私からしたら、それだけの事でも、彼からしたら大切な事だったんだろう。

　
もう忘れようと思った。
彼と同じ町で仕事をするようになるけど、私は新しい環境で、また恋をするだろうって思った。

姉夫婦が会社の近くに住んでいて、仕事が慣れるまでここから通勤すればいいって言ってくれたので、しばらく居候させてもらうことになった。

　
４月になって、
私は社会人になった。

和真とすれ違うかもしれない

心のどこかで
そんな事を思ってた

入社式も終わり、社員の顔なんてまともに覚えてないまま、週末になった。

この日は土曜日で、
新入社員の歓迎会を兼ねて、会社主催の花見に参加した

そこで出逢った……
将人……

　
将人は当時２３歳で
偶然にも私と同じ名字だった

今回の花見は将人が幹事で
幹事は強制参加らしく
本来なら来てなかったって言っていた

｢同じ名字じゃなー！｣

って話しかけてくれて
その時は
面白いし優しいし
単にかっこいいなーくらいに
思ってただけだった。